日本地球惑星科学連合2014年大会

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[O-06_30PO1] 日本のジオパーク

2014年4月30日(水) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、住田 達哉(産業技術総合研究所)

18:15 〜 19:30

[O06-P10] いづも地域の自然と歴史・文化のネットワーク化

*野村 律夫1高須 晃1入月 俊明1林 正久1田坂 郁夫1辻本 彰1 (1.島根大学くにびきジオパーク・プロジェクトセンター)

キーワード:出雲地域, 出雲風土記, 国引き神話, 島根半島, たたら製鉄

出雲地域の大地は,大陸の時代,大陸からの分離,日本海の形成,列島での火山活動,氷河期,沖積平野・国内最大の汽水湖(宍道湖・中海)の形成といった歴史をたどってきた.出雲地域はこのような多様な地質学的背景をもつ場所として古くより知られ,多くの地質学研究者によってその実体が解明されてきた。ここでは氷期の日本海の環境・海面水位に規制されて動物・植物に特徴的分布がみられ,またこれらの生物資源を利用した農林水産業が営まれてきた。さらにそれらにもとづく出雲地方独特の文化や産業が発展してきた.その多様な変化をもたらした地質学的基盤は,すでに1300年前に記述された出雲風土記に見られるように,古代出雲文化を創生し,いわゆる現在へ導かれる出雲文化の形成になった。その歴史のなかで,国引き神話など多くの伝説が生まれ,出雲は神話のふるさととして有名である。このような出雲の自然・歴史・文化をいま学際的に見直し,ジオパーク化することで地域の人々と共に新たな出雲文化の再発見をすることが島根大学の目指すプロジェクトである。
このプロジェクトは,2007年に総合理工学部地球資源環境学科が中心となり,「山陰・島根ジオパーク構想」として,普及活動,学習会等を行ってきた背景がある。その成果は,2013年に出版された「山陰・島根ジオサイト地質百選」にまとめられ,地域の地学的自然の手引き書として活用されている。出雲地域に現在38ジオサイトを設けており,この地質学的特徴と出雲風土記に見られるような出雲文化の形成過程を学術的に見直し,学際的に関連づけることで新たな出雲文化のイノベーションに繋げていく計画である.学術的成果は地域社会と連携しながらジオパークへの申請のため基盤とし,また学際的授業として学内外に公開する計画である。島根大学の学生及び一般市民が,学際的授業を通して学んだ成果は,ジオパーク・インストラクターとして地域社会へ還元させる。さらに日本国内に限らず海外に向けて出雲の自然・歴史・文化を多様な手段で発信し,大学教育・社会教育に役立てる.本プロジェクトは始動して2年目であるが, 3~4年計画で出雲地域を日本ジオパークへの申請と登録,および5年計画で世界ジオパークに申請と登録されることを目指している.
本プロジェクトは,現在,出雲及び近隣の地質学的資源と歴史・文化的資源を有機的に連結させるための専門的知識をもつ協力研究員とのネットワーク化を図りつつ現在,以下のような企画と計画を年次的に進めているところである。
■地形・地質,歴史・文化資源を活かした探訪会の実施。
■関連機関が参加する「推進協議会」の設立へ向けた。
■島根大学教養教育課程におけるジオパーク・カリキュラムの充実。