日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG11_28PO1] Instrumentation for space science

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*松岡 彩子(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 太陽系科学研究系)、吉川 一朗(東京大学)

18:15 〜 19:30

[PCG11-P09] 深宇宙探査技術実験機DESTINY による理学観測のための搭載機器の検討

*岩田 隆浩1川勝 康弘1 (1.JAXA宇宙科学研究所)

キーワード:イプシロンロケット, DESTINY, ラグランジュ点

深宇宙探査技術実験機DESTINY (Demonstration and Experiment of Space Technology for Interplanetary Voyage) は、JAXAが開発したイプシロンロケットでの打上げを目指す小型衛星計画である。その目的は、イプシロンロケットと小型衛星による深宇宙探査を実現するため、打上げから太陽-地球系ラグランジュ点2(L2点)のハロー軌道に至る軌道投入・軌道制御技術や、信頼性を向上させた大型イオンエンジン、薄膜軽量太陽電池パネルなど、様々な新規技術を実証することにある。その一方で、設計・開発の進捗の中で、質量等のリソースに余剰が生じた場合には、10kg程度までの理学観測機器を追加で搭載できる可能性があり、様々な候補機器が検討されている。
 L2ハロー遷移軌道の飛行中は、地球磁気圏のテール側のプラズマシート領域を、様々な距離・位置から観測することができ、プラズマ、高エネルギー粒子、磁場等の観測が候補機器として挙げられる。L2点では、安定した軌道により長期間の観測が可能であることから、JAXAの次世代赤外線天文衛星SPICAをはじめ、多くのスペース天文衛星の設置候補地点となっている。このため、この空間領域のダスト、電磁的環境、背景放射を知ること、重力的・熱的安定性を事前実証することは、これら将来ミッションのための貴重なデータとなる。L2点ハロー軌道およびその周辺の領域は、太陽系探査の場としても有用である。例えば地球近接小天体(NEO)とダストとの対応を観測することにより、流星群や小惑星とその母天体との関係を明らかにして、太陽系の始原物質やその進化ならびに輸送の様子を解明していく。また、地球磁気圏から発生するX線や木星型惑星の紫外線・電波を観測することにより、これらの放射機構を明らかにするとともに、太陽系外惑星の大気観測にもつなげることができる。DESTINYは、これらの本格的な探査の前段の、先駆的観測と位置付けられる。