日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC51_29PM1] 火山の熱水系

2014年4月29日(火) 14:15 〜 16:00 312 (3F)

コンビーナ:*藤光 康宏(九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門)、鍵山 恒臣(京都大学理学研究科)、大場 武(東海大学理学部化学科)、座長:藤光 康宏(九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門)、大場 武(東海大学理学部化学科)

15:45 〜 16:00

[SVC51-P05_PG] 日射の影響が無視できる条件下における熱収支法

ポスター講演3分口頭発表枠

*藤光 康宏1西島 潤1 (1.九州大学大学院工学研究院)

キーワード:熱収支法, 地熱流量係数, 微気象, 放熱量, 日射, 基準点温度

地熱地域からの放熱量を求める手法の一つである熱収支法(Sekioka and Yuhara, 1974)では、単位面積当たりの放熱量と地熱異常温度(地熱異常地域と通常地域の地表面温度差)とを関連づける比例定数として地熱流量係数が用いられる。地熱流量係数は対象地域における微気象観測により決定されるが、著者らはこの地熱流量係数の正確な決定のために微気象連続観測装置を製作して、各地で観測を行い、地熱流量係数に関する幾つかの考察を行ってきた(藤光ほか,2009;藤光ほか,2010;藤光ほか,2011)。
熱収支法では、地熱異常が認められない地点の地表面温度を基準温度と設定し、基準温度より高い地表面温度を示す地点はすべて地熱異常地域と考えて解析を行うが、研究を進める中で、日射が基準温度の決定に与える影響が、同手法による放熱量推定の精度を左右する大きな要因の一つであることが判明した。そこで、日射の影響が無視できる場合を想定し、夜間における人工発熱体を熱源とした観測実験を実施して、新たな解析手法による熱収支法の高精度化を目指した。
新たな解析手法では、日射がない状態における熱収支を考察すると共に、外部拡散係数の決定にリチャードソン数を導入し、さらにBowen比の逆数の決定方法を変更した。その結果、人工発熱体からの実際の発熱量とほぼ同じ値の放熱量が、新たな解析手法により算出された。
本研究を進めるにあたり、当時九州大学大学院工学府地球資源システム工学専攻修士課程の押方彰平氏には、現地観測やデータ解析などで多大な協力を頂いた。

藤光康宏・西島 潤・江原幸雄 (2009) 熱収支法で用いられる地熱流量係数の時間変化.日本地球惑星科学連合2009年大会予稿集,V161-P012.

藤光康宏・西島 潤・江原幸雄 (2010) 熱収支法で用いられる地熱流量係数と地表面温度異常量との関係.日本地球惑星科学連合2010年大会予稿集,SVC061-P03.

藤光康宏・西島 潤・江原幸雄 (2011) 熱収支法の地熱流量係数と各種微気象データとの関係.日本地球惑星科学連合2011年大会予稿集,SVC049-P10.

Sekioka, M. and Yuhara, K. (1974) Heat flux estimation in geothermal areas based on the heat balance of the ground surface. J. Geophys. Res., Vol. 79, No. 14, 2053-2058.