日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-04_29AM1] 最新の大気科学:航空機による大気科学・地球観測研究の展開

2014年4月29日(火) 09:00 〜 10:45 211 (2F)

コンビーナ:*小池 真(東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)、近藤 豊(東京大学・大学院理学系研究科)、新野 宏(東京大学大気海洋研究所海洋物理学部門海洋大気力学分野)、佐藤 正樹(東京大学大気海洋研究所)、座長:足立 光司(気象研究所)

09:00 〜 09:15

[U04-01] 航空機観測による大気科学・気候システム研究の推進-日本学術会議への日本気象学会の提案-

*新野 宏1近藤 豊2佐藤 正樹1小池 真2 (1.東京大学大気海洋研究所、2.東京大学大学院理学系研究科)

キーワード:大気科学, 気候システム, 航空機, 日本気象学会, 日本学術会議, 大型研究計画マスタープラン

航空機による地球観測は、人工衛星観測、地上観測と並ぶ地球観測の3本柱の1つとして、大気科学および幅広い地球科学の研究コミュニティーで長年にわたりその必要性が議論されてきた。特に最近、日本気象学会(以下気象学会)では学術委員会内に「航空機観測に関する検討部会(部会長 近藤豊(東大院・理))」を設置し、2年間にわたり検討を進めてきた。部会では、これまでの我が国の航空機観測の実績、国際的な航空機観測の状況、地球科学(特に大気科学分野)において航空機観測が必要とされる課題、我が国の現状、若手研究者の育成の必要性、予想される成果、人工衛星・地上観測との連携、実施体制や運用形態などについて、様々な観点から議論が行われた。2012年9月にはこれらの議論を集約した報告書「地球環境変動の研究と自然災害現象の実態とメカニズムの解明のための航空機の利用に関する提案」(http://www.metsoc.or.jp/cgi-bin/kokuki_iken/ ikenboshu1_report.pdf)を取りまとめた。この報告書の内容は気象学会の学術委員会および理事会で承認され、計画の実施が推奨された。また地球惑星科学連合に参画する学協会である日本大気化学会(当時、大気化学研究会)運営委員会でも、報告書の内容が検討され、承認された。このような準備・議論を背景として、気象学会は日本学術会議が公募した第22 期学術の大型施設計画・大規模研究計画に関するマスタープラン「学術大型研究計画」に「航空機観測による大気科学・気候システム研究の推進」を提案した。その内容は以下の通りである。 本研究計画の目的は、地球観測研究専用の航空機を導入し、大気科学・気候システム研究を飛躍的に推進することである。地球温暖化を含む地球環境の変動が急速に進行し、人間の経済社会活動や水・食糧供給など生活の基盤に大きな影響を与えつつある。このため地球環境変動の現状を把握し将来を予測し、対策を講じることが重要である。文部科学省科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の地球観測推進部会がまとめた「我が国における地球観測の実施方針」においては緊急に解明すべき問題として、温室効果気体の循環、雲物理・降水過程、対流圏大気の変化、極域の気候変化、水循環の変動などが挙げられている。 これらの地球環境問題に対応するには、地上からの観測ばかりでなく航空機を用いた地球観測システムの構築と、そのための広い分野の研究者が長期的な視点から利用できる航空機の運用体制を確立することが必要である。先端的な計測器を用いた航空機による直接観測は、測定項目、精度、時空間分解能の点で優れている。地球規模での観測では人工衛星も重要な役割を果たしているが、航空機観測と人工衛星の観測を組み合わせることにより大きな相乗効果が生じる。また、地震・津波・洪水などの自然災害や原発事故・海洋汚染などの深刻な事故が起きている。このような災害・事故の際に、的確な観測器を搭載して機動的に観測できる体制を構築することが急務である。これにより迅速な対策を講じることが可能になる。 日本が知的リーダーシップを取り、諸外国の研究者と共同してアジアの環境問題の研究を推進するためには、共同利用できる航空機観測の研究基盤を安定的に供給することが必要である。また、共同利用のための航空機は最先端の測定機器(人工衛星搭載センサーを含む)の継続的な開発・試験のための重要なプラットフォームとなり、将来の航空機観測を担う若手研究者の育成にも不可欠である。これらの目的を達成するために、我が国独自の観測専用機を保有/占有し、大学や各種機関が中心となるボトムアップの共同利用組織により、大気科学を推進するシステムの構築が必要である。今後は、大気科学を中心とした研究課題の内容を深めるとともに、より広い地球科学分野における利用も含めて、計画を充実していく必要がある。