日本地球惑星科学連合2015年大会

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[O-01] ジオパークへ行こう

2015年5月24日(日) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

18:15 〜 19:30

[O01-P01] 平成26年11月25日以降継続している中岳の噴火と阿蘇ジオパークの対応について

*永田 紘樹1片山 彰1石松 昭信1山内 万里子1 (1.阿蘇ジオパーク推進協議会)

キーワード:ジオパーク, 地域連携, 防災

平成26年11月25日以来,阿蘇中岳は,本格的な噴火が継続して発生しており,平成27年2月現在も継続している.阿蘇ジオパークは,この噴火による住民の不安解消や風評被害対策について様々な対応を行ってきた.
 その対策は噴火以前から始まっており,平成26年11月に拠点施設の阿蘇火山博物館による地震計のデータや火口カメラの映像などから噴火が発生する可能性が高まっていることが指摘されたため,事前に事務局内の事前役割分担を行うことや正確な情報発信による風評被害防止を確認した.
 これにより,噴火の翌日に火山情報をホームページで公開したり,3日後に火山灰に対する啓発チラシを公開・配布をスムーズに行うことができた.また,事前に噴火が予測されたため阿蘇市に全戸配布されるフリーペーパーにも火山灰が新聞などを燃やした灰ではないことなど一般的な知識を掲載することができた.
 また12月15日には,噴火を不安視する声が高まってきたことを受け,噴火状況や過去の噴火と比較してどのようなことが言えるのか,など現状を正確に伝える「阿蘇ジオパーク火山情報共有会議」を緊急に開催した.住民・行政・警察・消防・自衛隊など幅広い機関から約70名の参加者があり,スコリアや火山灰などの実物も解説付きで展示したこともあってアンケート結果では不安解消に役立ったという意見が多かった.しかし,生活の中で灰をどのように扱えばいいのかという疑問も多く寄せられたため,平成27年2月12日には,桜島・錦江湾ジオパークと連携して「火山灰とともに生きるまちー桜島の事例ー」を開催し,噴火の現状だけでなく,桜島の火山灰対策の事例を学んだ.阿蘇ジオパークの中で最も降灰被害がある高森町で行ったため,当初の予想を大きく上回る約200名の参加者があり,アンケート結果も不安解消に役立ったとの意見が多く寄せられた.そのため,活発な活動期に入ってもスムーズに正確な情報を地域住民や観光関連施設に伝えることができた.
 阿蘇ジオパークでは,このように1方向の情報提供だけでなく,住民とのコミュニケーションからそのニーズを探り様々な形態で不安解消や風評被害対策を行っており,一定の成果を上げている.今後も様々な機関と連携を図りながら噴火の対応を柔軟に行っていく必要がある.