日本地球惑星科学連合2015年大会

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[O-01] ジオパークへ行こう

2015年5月24日(日) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

18:15 〜 19:30

[O01-P17] 地元小学生と作る面白楽しいジオサイトマップ ~南紀熊野ジオパーク荒船海岸ジオサイトにおける串本町立田原小学校との活動例~

*芝崎 浩子1 (1.南紀熊野ジオパークガイドの会)

キーワード:ジオサイト, ガイドマップ, ジオパーク学習

ジオパークについて語る際,「小学生にも理解できるように」や「楽しく面白く」という言葉が頻繁に聞かれる.だが,本職の小学校教師や頻繁に子ども相手の活動を行っている人以外で,そのような言葉で常に語ることのできるジオガイドがどれほどいるだろうか.おそらく少数と思われる.一方,ジオパークは地域学習や総合学習,理科教育への活用が有効だということも先進地域の例を見れば明らかであるが(竹之内ほか,2014),多くの場合,従来の学校教育と同様ジオガイドや専門員は教える側で先生と呼ばれ,子ども達は教わる側であり受け身である.本来は地域に生まれ育つ子ども達こそが,最も地域に詳しく親しくあるべきであり,ガイドがそこから教わることがあっても構わないはずである.ガイドは,ジオパーク学習によって子供達が地域の地質とそれに起因する地形景観や植生,生態系,そして歴史文化を楽しみつつ理解していく際の手助けをする程度でも良いのではないだろうか.
発表者はこのような考えを元に,初めから小学生自身に語って貰い,それを元にガイド内容を練るという手法の可能性を探る為,今回の活動を発案した.
南紀熊野ジオパークは2014年8月に日本ジオパークに正式認定された,和歌山県南部の1 市7 町1 村からなる,比較的広域にわたる新しいジオパークである.地質に関しては,プレートの一連の動きによって生み出された3つの地質体で構成されている.すなわち付加体・前弧海盆堆積体・火成岩体である.これらの大地の上には,それぞれ特徴的な地形景観や植生,生態系,歴史文化が育まれており,世界的にもその価値がすでに認められている(山本・谷脇,2014).つまり,世界遺産やラムサール条約,国立公園等に指定登録された地域と重複しているのである.このため当ジオパークのジオサイトには,すでにいわゆる「観光名所」としての地位が確立されているサイトも多く,そのような場所では語り部や観光ガイド,ガイドマップや絵地図といった案内手法も充実している.
ただし,今回対象とした「荒船海岸ジオサイト」はやや異なる.串本町と那智勝浦町にまたがる浦神半島の南側,吉野熊野国立公園に指定された海岸域がそれに相当するが,地元漁師や磯釣りに訪れる人以外は知る人も少なく舗装路も区域の半分までしかない,手つかずの自然海岸である.
今回は,このジオサイトを広く紹介するためのガイドマップを地元小学生とジオガイドが共に,総合学習の中で作成した過程とその成果について発表する.
主な内容は以下の通りである.
1,はじめに~活動の動機~ 
2,荒船海岸ジオサイトとは
3,事前学習~ジオパークとあるもの探し~
4,フィールドワーク
5,事後学習
6,成果と今後の展望