日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS14] 「海洋混合学」物質循環・気候・生態系の維持と長周期変動の解明

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*吉川 裕(京都大学大学院理学研究科)、原田 尚美(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、西岡 純(北海道大学低温科学研究所)

17:15 〜 18:30

[AOS14-P01] 海面熱フラックスの日周変動が海洋表層の水温構造に与える影響

*牛島 悠介1吉川 裕1 (1.京都大学大学院理学研究科)

キーワード:日周変動、混合層、海面熱フラックス

太陽放射の日周変動によって大気海洋の境界層は日周変動しているが、海洋表層の日周変動や日変動の時間規模の大気海洋相互作用にはあまり注意を向けられていなかった。しかしながら、近年の研究ではその重要性が示唆されている。例えば、Large and Carbon(2015)では大気大循環モデルを用いて、太陽放射の日周変動がSSTの日周変動を通して海面熱フラックスの中長期変動に影響を与えることを示しており、日周変動は大気海洋の中長期変動に影響を与えていると考えられる。しかし、日周変動がどのようなプロセスを通じてSSTを変化させるのかは十分に解明されていない。そこで本研究では熱フラックスの日周変動が海洋表層境界層の水温構造に与える影響とそのプロセスに着目して数値実験を行った。実験にはLESモデルを用いて、海面加熱期の熱フラックスの日周変動の有無による違いを調べた。日周変動がない実験では海面での加熱が風に起因する鉛直混合によって混合層全体に分配されていたが、熱フラックスに日周変動を与えた実験では昼の強い加熱期には高温の偏差が海面付近にトラップされる一方で、冷却期には低温の偏差が混合層に分配されるため、SSTの日周変動が見られた。この結果、SSTの日平均値は日周変動によって増加した。海面熱フラックスの日周変動は混合層深度にも影響を与える。その影響は緯度に依存し、日周変動は低(高)緯度で混合層を深く(浅く)する。講演では、混合層深度の緯度依存性についても議論を行う。