日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT23] 環境リモートセンシング

2016年5月23日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*石内 鉄平(明石工業高等専門学校)、島崎 彦人(独立行政法人国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校)、近藤 昭彦(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、作野 裕司(広島大学大学院工学研究院)、長谷川 均(国士舘大学文学部地理学教室)、桑原 祐史(茨城大学 広域水圏環境科学教育研究センター)

17:15 〜 18:30

[HTT23-P05] 合成開口レーダのコヒーレンスに着目した都市域における被覆変化域推定方法

*井上 雄太1関根 大樹1桑原 祐史2 (1.茨城大学大学院理工学研究科、2.茨城大学工学部都市システム工学科)

キーワード:コヒーレンス、土地被覆、土地被覆分類図

近年,地球温暖化の影響により,突発的な集中豪雨や台風による水害,土砂災害の増加が想定されており,災害発生後の迅速な被害状況の把握が求められている.このような中,合成開口レーダ(以下,SAR)は,光学センサと異なり,観測時の天候や時間帯の影響を受けにくいことから,災害時の迅速な被害把握に有効である.現在,2時期のSARデータを干渉させて,地殻変動計測や地形データの生成を行う干渉SARが,地殻変動や斜面崩壊などに適用されている.
本研究では干渉SARの中間生成データの1つであるコヒーレンスに着目した.コヒーレンスは2つのSARデータの複素相互相関の絶対値であり,土地被覆変化と対応関係がある.このことから,コヒーレンスと光学センサ画像を組み合わせた被覆変化域推定方法を提案した.また,土砂災害および人間活動に起因する被覆変化を被覆種別に推定し,本方法の適用範囲を示すことを目的とした.本研究の成果を以下に示す.
(1) 土地被覆分類図を用いた場合は約60%から約80%,土地利用図を用いた場合は約50%から約90%の精度で被覆変化域を推定することが可能であり,また,水田の田植えや収穫,かんしょの収穫など農作物の収穫サイクルに関わる被覆変化を捉えることが可能であることが示唆された.
(2) コヒーレンスのウィンドウサイズや凝集・選別処理のパラメータを工夫することで,被害域推定や調査候補選定などの利用目的ごとに使い分けることが可能である.
(3) 推定された被覆変化域は,目視判読で得られた被覆変化よりも大きく推定される傾向があり,地表の含水量などの目視で判読できない変化を捉えている可能性が高い.
(4) 被覆変化域の推定精度は,分解能や被覆変化の分類数の影響を大きく受ける.
(5) 森林や潅木林,稲などの植生の生長に関する被覆変化を推定することは困難である.
(6) 海域など,データが欠損しやすい領域の被覆変化を推定することは不可能である.