日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI23] 新キッチン地球科学、頭脳活性化ツールとしての役割

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*栗田 敬(東京大学地震研究所)、熊谷 一郎(明星大学理工学部)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、酒井 敏(京都大学人間・環境学研究科)

17:15 〜 18:30

[MGI23-P03] 傾斜した水槽中を自由落下するガラス・ビーズ実験
~火砕流や雪崩における粒子群の集団効果~

*三村 和男1 (1.東海大学教養学部人間環境学科自然環境課程)

キーワード:火砕流、雪崩、室内実験

火山噴火に伴う火砕流や雪山の雪崩現象は、粒子群と流体の混合物が斜面上を流れ落ちる現象である。数多くの粒子が集団になったときの集団効果の共通の特徴を調査するのが目標である。
傾いた斜面上の流体を表現するために、水を入れた底辺の一辺が10cm長さ50cmの透明アクリル四角柱を任意の角度で傾けた状態で、台座に取り付ける。なお、この四角柱には、10cm間隔に目盛りが刻まれている。粒子群として、同じ大きさのガラス・ビーズを、水槽上端から初速ゼロで、自由落下させる、実験を行った。ただし、同時に自由落下させるガラス・ビーズの数を、1個から、2個、3個、4個、5個、6個と増やしてゆき、さらに集団の効果を見るために、10個、20個、30個、50個まで増やして、それらガラス・ビーズ群の集団としての終端速度を計測した。計測方法は、スマホをタイマー・モードにして、家庭用のデジタル・カメラを使って、ガラス・ビーズ群の自由落下を、タイマーごと、動画として撮影するものである。
後に、低速再生しながら、ビーズ群が目盛りを通過する時刻を読みとり、速度に変換する。ビーズの数が5個までは、各ビーズはほぼ同時に落下するが、6個以上になると、ビーズ群は縦にばらけ、ビーズごとの順位は入れ替わりながら、落下する。しかしながら、常に先頭のビーズと最後尾のビーズは認識できる。従って、先頭のビーズと最後尾のビーズの速度を求めた結果、最初の目盛り(水槽上端から斜面に沿って10cmの位置)を通過した後は、その時々の先頭速度も最後尾速度もほぼ一定となったので、各時刻の先頭速度と最後尾速度を全部平均したものをビーズ群の終端速度と見なすことにした。
斜面の傾斜角度を30度、45度、60度、変化させて、実験を行った結果が図であり、傾斜が大きいほど、終端速度は大きくなる事以外に、興味深い特徴として、どの傾斜角にも共通して、ビーズ数が1,2,3個までは、ビーズ数が増えると終端速度は減少する傾向があり、4個になると、終端速度が跳ね上がった後、4,5,6個とビーズ数が増えると、再び、終端速度が減少する傾向が見られる。さらに、ビーズ数を6,10,20,30,50と増やした場合、今度は逆に、ビーズ数が増えると終端速度が増加する傾向が認められる。ビーズの集団効果の効き方が少なくとも3種類のレジームに分けられる事を暗示している。
粒子群と周囲の流体の混合物に対して、簡単なモデルを仮定し、終端速度の変化傾向の解釈を試みる。