JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS24] Exploring new frontiers of oceanic mixing research in the next decade

コンビーナ:日比谷 紀之(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、安田 一郎(東京大学大気海洋研究所)、Lakshmi Kantha(Aerospace Engineering Sciences, University of Colorado, Boulder, Colorado, USA)

[AOS24-P16] 西部北太平洋亜寒帯域における基礎生産力の経年変化:沈降粒子の窒素安定同位体比を用いたアプローチ

*三野 義尚1本多 牧生2藤木 徹一2喜多村 稔2原田 尚美2 (1.名古屋大学、2.海洋研究開発機構)

キーワード:西部北太平洋亜寒帯、基礎生産、セジメントトラップ、窒素安定同位体

西部北太平洋亜寒帯域のK2浅層でセジメントトラップによって捕集した沈降粒子の窒素安定同位体比(delta N-15)は冬季上昇、夏季低下という季節変化を示す。この変化は主に硝化反応に起因したアンモニアのdelta N-15値の季節変化を反映しており、この結果、粒子窒素が生成された時の混合層内の平均的な光環境を指標していると考えられる。実際に、水深500mトラップ粒子delta N-15と同時期に航海観測で測定した基礎生産力の間には高い負相関が存在した(R2= 0.94)。本研究では、この関係をトラップ粒子delta N-15の時系列データに当てはめ、2010–14年の月別のK2基礎生産力を復元した。推定した生産力は89–790 mg m–2 d–1(炭素換算量)の範囲で変化し、6–8月に年最大値を示した。また各年の季節平均値を比較すると、春(4–6月)に上昇傾向、夏(7–9月)に低下傾向が存在した。この傾向が2010–14年にかけて植物プランクトンブルームの開始が早まったことを反映している場合、表層混合の弱化によって初春の光律速が緩和された可能性がある。本講演では、2015–19年データを加えてK2生産力の経年変化およびその変動要因について検討する。