2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)

講演情報

オーガナイズドセッション

オーガナイズドセッション » [OS] OS-17 農業とAI

[1F4-OS-17b] 農業とAI(2)

2019年6月4日(火) 17:20 〜 19:00 F会場 (302B 中会議室)

小林 一樹(信州大学)、竹崎 あかね(農研機構革新工学センター)

18:00 〜 18:20

[1F4-OS-17b-03] 雑味の視点からみた昆布だしの光分析手法による解析

〇亀岡 孝治1、田口 拓実1、西川 恵梨子1、伊藤 良栄1、橋本 篤1、湯川 徳之2、大引 伸昭2 (1. 三重大学、2. エコール辻大阪(辻調グループ))

キーワード:昆布出汁、中赤外分光、蛍光X線

日本料理の出汁の評価では、料理人はうま味と雑味のバランスを重視する。うま味の研究は数多いが、雑味の視点から昆布出汁を評価する研究はほとんど行われていない。しかし、日本料理ではうま味と雑味のバランスを考えた調理法は有用であり、雑味の特徴を明らかにする必要がある。そこで本研究では、昆布出汁における雑味の特徴を明らかにすることを目的とした。具体的には, HPLC・中赤外分光分析・蛍光X線分光分析を用いたアミノ酸・糖・ミネラルの分析と、人が感じる総合的な味覚を表現するためのQDA法の確立とその手法による出汁の品質評価を行った。光分析手法による解析の結果、雑味を感じた昆布出汁には「旨味が少なく、ミネラルや糖が相対的に多い」という特徴が確認された。またQDA法では、おいしくない昆布出汁の特徴も捉えるために、出汁に向かない昆布や通常用いない調理条件を含む32種類の昆布出汁を用いて評価用語を作成した。あわせて、QDA法を用いた解析結果から、雑味へのアプローチとして、香り・風味に着目することや、カリウムなどのミネラル類の影響を考慮する必要性が導き出された。今後は、機械学習やAIを用いた解析が必要である。