第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

2-01 外科治療

ポスター
PA・IVS

2015年7月18日(土) 10:50 〜 11:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:猪飼 秋夫 (岩手医科大学附属循環器医療センター)

III-P-157~III-P-161

[III-P-159] 当院におけるPA/IVSに対する治療戦略の変遷

長谷川 智巳1, 大嶋 義博1, 圓尾 文子1, 松久 弘典1, 野田 怜1, 岩城 隆馬1, 松島 峻介1, 田中 敏克2, 亀井 直哉2, 雪本 千恵2, 山口 眞弘3 (1.兵庫県立こども病院 心臓血管外科, 2.兵庫県立こども病院 循環器科, 3.明石医療センター 心臓血管外科)

キーワード:PA/IVS, 治療方針, RV・TV index

【目的】 当院におけるPA/IVSの治療戦略は、2005年以前は右室拡張末期容積(RVEDV), 右室流出路径, 三尖弁輪径(TVD)より算出した右室発達係数やRV・TV indexに基づいた術式選択を行ってきたが、2005年以降は右室容積・形態, 三尖弁形態, 右室冠動脈瘻を考慮した治療方針を個々に検討してきた。今回、当院でのPA/IVS治療を振り返り、これらの治療方針を比較検討した。【方法】 対象は1995年から2012年までに当院で初回手術を受けたPA/IVS(critical PSを含む)症例35例。治療方針の変遷に伴い、初回治療時期によってA群(1995-2004年)16例、B群(2005-2012年) 19例の2群に分類して後方視的検討を行った。【結果】 A群/B群において、胎児診断 3/9例, 院内出生3/10例。初回カテ治療は、BAS 13/7例、PTPV 0/9例。初回カテ介入日齢(中央値)はA群5日、B群6日と有意差なし。B群ではPGE1製剤の使用期間が長かった。初回手術は、肺動脈弁切開術 3/5例, 体肺動脈短絡術4/8例, 肺動脈弁切開術+体肺動脈短絡術9/1例, RVOT再建 0/1例。初回手術後の手術死亡はなく、遠隔死亡はA群1例のみ。根治手術前カテにて、RVEDV(%ofN) 53.1±23.7/78.0±45.8, TVD(%ofN) 49.8±14.4/79.1±32.4, RV・TV index 0.27±0.17/0.70±0.68。根治手術として、2心室修復11/11例 (うちASD部分閉鎖 6/1例), 1.5心室修復 2/1例, 1心室修復 2/6例。根治手術後の手術死亡・遠隔死亡なし。【結論】 当院におけるPA/IVS治療戦略はその変遷はあるものの、その治療成績に大差はなく良好な結果であった。従来の方針では右室・三尖弁低形成の境界領域に対する2心室修復(ASD部分閉鎖)や1.5心室修復が多かったが、近年はその境界領域に対する術式選択は減少傾向にあった。近年、胎児診断が確立して院内出生が増加し、出生直後からの治療介入が可能となり、当院でのPA/IVSの治療戦略を小児循環器科・心臓外科の両サイドから再検討する必要があると思われた。