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[I-PD2-07] PICUにおける先天性心疾患周術期に合併した頭蓋内出血症例に関する検討
キーワード:頭蓋内出血, 周術期合併症, PICU
【背景】先天性心疾患(CHD)の周術期にはショックや早産低出生体重児などの患者側要因やECMO管理に伴う抗凝固療法などの治療的要因による出血のリスクがあり、周術期合併症として頭蓋内出血(ICH)を経験することがある。【方法】2011年1月から2015年12月までの5年間にCHD術後管理目的に当院PICUへ入室した症例のうち、経過中にICHを認めた症例の臨床経過について診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】観察期間中に6例にICHを認めた(6例/674例;0.9%)。年齢(中央値)は生後1ヶ月であった。新生児症例は3例で、2例が早産児であった。CHDは左心低形成症候群2例、総肺静脈還流異常症1例、三心房心1例、無脾症候群1例、重複大動脈弓1例であった。出血の原因は、3例が心肺停止、2例がショック2例、1例が低酸素血症と考えられた。全例頭部超音波検査にて診断され、経過中改善を認めた軽症例(IVH1度)から出血が悪化した重症例(midline shiftを伴う脳内出血)と重症度は様々であった。ECMO管理中の症例は5例(うちECPR症例2例)で、CPA蘇生後の3例に低体温療法が行われた。2例がPICU生存退室し、4例が死亡した(脳機能停止1例、ICH進行1例)。【考察・結語】CHDの周術期にICHを合併した症例において、その重症度は様々であったが、ほとんどが新生児・乳児期のECMO管理の症例であった。当院でのECMO症例における過去の検討では、ICH合併率(7%)と過去の報告(14-34%)に比し低率であり、ICHのリスクとして水分バランス過多と血小板数低値が関連することが示されたが(居石ら、日集中医)、CHD周術期におけるICHの発症および悪化因子に関する今後のさらなる検討が必要と考えられた。