第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション 3 (I-PD3)
重症肺高血圧症の肺移植適応

2017年7月7日(金) 16:15 〜 17:45 第4会場 (1F 展示イベントホール Room 4)

座長:伊達 洋至(京都大学呼吸器外科)
座長:土井 庄三郎(東京医科歯科大学小児科)

16:15 〜 17:45

[I-PD3-05] 肺移植プログラムにおける呼吸器外科と循環器内科の連携

波多野 将 (東京大学大学院 医学系研究科 重症心不全治療開発講座)

キーワード:肺移植, 肺高血圧, エポプロステノール

当院では2014年3月に肺移植実施認定施設となって以降、2017年2月までに生体1人、脳死4人の計5人の肺移植を実施した。このうち、原疾患が肺高血圧(PH)であった患者は1人のみであるが、当院はもともと重症PHの患者を多く診療していることもあり、既に20人を超える肺動脈性肺高血圧症(PAH)(肺静脈閉塞症を含む)患者の適応検討を行っている。そのほぼ全ての患者がエポプロステノール持続静注もしくはトレプロスチニル持続静注/皮下注を行っているため、適応検討に際しては、この管理に精通した循環器内科病棟に入院して頂いている。適応評価に当たっては、循環器内科では既に10年以上前から行っている心臓移植の経験を生かし、スムーズな患者の受け入れが可能となっている。また、一旦適応を取得した後は、原則紹介元の病院での治療を続けて頂くが、患者の状態把握のために当院にも3~6ヶ月に一度来院して頂いている。この際、PHの患者においては必ず呼吸器外科と循環器内科の併診とするとともに、週1回両科で合同カンファレンスを行って患者の状態把握を行い、いつドナーが発生しても良いように備えている。実際に移植が行われた際には、PHの患者においては著明に拡大した右室に長らく圧排されていた左室が、急激な前負荷の増大に耐えることができず、左心不全を発症することが問題とされており、肺移植時の短期死亡の大きな要因となっている。この点においても、呼吸器外科と循環器内科が連携して術後管理を行っていくことが、肺移植の成績を上げるために重要であると考えられる。本パネルディスカッションでは、適応評価から待機中の管理、さらには移植後の管理までを含め、肺移植に関わる診療全般における、呼吸器外科と循環器内科との当院の連携体制について紹介したい。