一般社団法人 日本医療情報学会

[2-I-1-JS1-2] JLAC11の動向

真鍋 史朗 (大阪大学大学院医学系研究科 統合医学講座 医療情報学)

日本における臨床検査項目の標準コードとして、日本臨床検査医学会が1997年に公表した臨床検査項目分類コード(JLAC10)をベースとした、一般財団法人医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)の臨床検査マスターが厚生労働省より認可されている。近年、施設間で検査データを交換したり、多施設の検査データを収集したりすることが多くなり、JLAC10が注目されることになったが、実際にJLAC10が使われるようになってくると、二重コードが存在することや、特性の異なる検査法が同一の測定法コードになること、項目数が多く、ローカルコードとのマッピングが困難であることなど、いくつか問題のあることがわかってきた。
2012年、医療情報学会と臨床検査医学会が中心として臨床検査マスター運用協議会が発足し、問題点の解消および臨床検査標準コードの普及について検討し、2015年末、日本臨床検査医学会より新しい臨床検査項目コードJLAC11の素案が提示された。
JLAC11の主な特徴は、識別コードの体系を変更したこと、外部精度管理に対応している測定法コードを測定物コードに対応して定義したこと、結果識別コードを廃止し、代わりに単位コードを導入したこと、などである。また、コードの検索時に利用するための JLAC検査名称を新たに定義している。それらにより、各病院で運用管理している臨床検査項目のローカルコードとのマッピングが容易になり、各種データの利活用のニーズに対応できるものと考えられる。
しかし、測定物コードに対応して測定法コードを対応させているため、新しい測定機器や測定法の出現に対して、即座に新しいコードを発番する仕組みが求められる。現在、コードの発番・管理などの作業を継続的・安定的に提供できる体制の構築について検討しているところである。