一般社団法人 日本医療情報学会

[4-A-2-PS18-3] 多職種連携のための記録―患者の問題と治療・ケア計画の共有のために―

村岡 修子 (NTT東日本関東病院)

多職種連携には、専門職をつなぐための記録が必要である。そのためには、看護記録を他職種にも理解できるように表現すること、治療やケアに対する専門職としてのアセスメントの視点を他職種へ伝えられる記録をすることが必要と考える。特にアセスメントの視点を共有することは、医療チームが同じ患者目標に向かって、治療やケアを役割分担して行う上で重要である。したがって、看護師の記録は、看護のアセスメントの視点を他職種に明確に伝わるような方法を検討する必要がある。
看護師のアセスメントの視点には、ヘンダーソンの14の基本的欲求段階、ゴードンの11の機能的健康パターン、NANDA-Iの13の看護診断分類などがある。NTT東日本関東病院では、看護アセスメントツールとして、NANDA-Iの13の看護診断分類を用いている。アセスメントから決定した看護診断名は、患者の問題として、電子診療録のプロブレムリスト画面に表示される。看護ケア計画は、看護診断名別に、成果指標はNOCを、看護介入はNICを用いて、専用の画面から立案する。そして、看護計画に関する記録は、フロー型記録に表示され、他職種と情報を共有出来るようになっている。
しかし、現在の看護師が記録する患者問題や看護ケア計画に記載された情報は、他職種に十分活用されているとは言いにくい。その理由には、既存の記録方法では、看護師のアセスメントから導き出された患者問題やケアの繋がりを、他職種が理解しにくいことにあると考えられる。そこで、病院では、看護ケア計画を現在の方法から他職種と情報を共有できる別の記録方法へ変更する準備を進めている。
本シンポジウムでは、看護ケア計画における、病院の課題と検討した対応策について説明し、「多職種連携のための記録」を目指すためには、どのようなケアマスタを必要とするかについて、皆さんと話題を共有したい。