一般社団法人 日本医療情報学会

[2-H-1] 次世代型病院における電波利用

*大山 慎太郎1、山下 芳範2、出野 義則3、大塚 孝信4、遠藤 哲夫5、森 陸夫6、山下 佳子1 (1. 名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター、2. 福井大学医学部附属病院 医療情報部、3. 株式会社ケアコム、4. 名古屋工業大学、5. 大成建設株式会社、6. 株式会社フィリップス・ジャパン)

高度化、複雑化が顕著な近代医療機関では、医用テレメータ、無線式ナースコール、無線LANや携帯電話、スマートデバイスをはじめとする無線端末や無線対応医療機器といった電波利用機器の普及が急速に進んでいる。医療機関での電波利用は、医療の提供自体に関わるクリティカルなものから、医療業務の効率化や業務支援などの補助的なものと多様化・拡大しており高いニーズがある。また、電波利用機器の利用者は医療従事者に限らない。入院患者が家族と連絡をする際にテザリングやモバイルルータを利用し、その際の電波が業務用無線と干渉するという問題も多く聞かれる。スマートフォンと無線で通信するガジェットデバイスも、今後ますます増えていくであろう。このような状況を鑑みると、今後、病院内における電波の利用はさらに重要なテーマとなることは間違いない。利便性の向上や医療の高度化というメリットがある一方で、適切な電波管理等が追いつかず、従来から利用されてきた医用テレメータやPHSなどの電波帯域問題、電波干渉問題、新規の通信技術の利活用や共存など様々な問題が発生している。また、セキュリティの点についても重要であり、ランサムウェア攻撃により、実際にネットワークが不通になったという事例もある。さらに、古いインフラや機器が残りやすく新たに刷新することが困難であるという問題点もある。 本シンポジウムでは、従来型の医用テレメータや医療機器等と、新しいインフラを利用したスマートデバイス等の電波利用機器が混在している中で、安全で効率的な電波利用を推進するために、設計、医療機器、インフラそして、ユーザーというそれぞれの視点から、次世代型病院における電波の有効利用について議論したい。