日本原子力学会 2014年春の年会

講演情報

一般セッション

IV. 核燃料サイクルと材料 » 403-1 原子炉化学,放射線化学,腐食化学,水質管理

[G15-19] 放射線化学

2014年3月26日(水) 16:40 〜 18:00 G (1号館 11D)

座長:河村浩孝(電中研)

[G17] 高温での水の放射線分解に及ぼす海水成分の影響

和田陽一1, 石田一成1, 橘正彦1, 太田信之2, 茂中尚登2, 野田宏3, 稲垣博光3 (1.日立, 2.日立GEニュークリア・エナジー, 3.中部電力)

キーワード:放射線分解, 海水, 水素

海水の放射線分解について、廃棄物の処分の観点から欧州を中心に研究されてきた。近年、国内でも海水を事故時の冷却水として使用したことから、その放射線分解挙動への関心が高まり、室温での研究が行われている。そこで本研究では、海水成分を含む高温水が放射線分解した場合の生成物とその濃度について、水の放射線分解コードを用いて検討した。250℃で海水が放射線分解すると、低温と同様に主要な生成物は水素、酸素でありほぼ化学両論比で生成するが、低温よりも分解が促進された。これは、海水成分のハロゲン化物イオンの影響によって水素と酸素の再結合反応の効率が低下するためである。このとき、過酸化水素も生成するが、塩化物イオンが共存するとG値が小さくなるので酸素より2桁近く低濃度となった。塩化物イオンから生成する化合物の濃度は、解析に用いた106Gy程度までの吸収線量では、最も高濃度の塩素酸でも0.01ppm以下であった。