2016年春の年会

講演情報

一般セッション

IV. 核燃料サイクルと材料 » 405-3. 原子力施設の廃止措置技術

[3E01-08] 福島事故関連

2016年3月28日(月) 09:50 〜 12:00 E会場 (講義棟B棟 B202)

座長:遠山 伸一(若狭湾エネ研)

11:05 〜 11:20

[3E06] 福島事故対策-燃料デブリアイス回収工法

*森重 晴雄1、森重 晴貴1、山敷 庸亮2 (1.福島事故対策検討会、2.京都大学)

キーワード:福島原発事故対策、燃料デブリ回収、格納容器の気密確保、燃料デブリ保管容器、汚染源の封鎖

本工法は冷却空気の冷熱を用いて、燃料デブリを回収する。まず、格納容器を冷却し、負圧にし外部からキレツ部を通じて空気を流れ込ませ、その空気中の水蒸気をキレツ部付近で結露、凍結させることで格納容器を密封し汚染物質の飛散を防止する。
ペデスタル出入り口から流出している汚染水も凍結させ汚染水を閉じ込める。
次に原子炉内に残された燃料デブリを回収する為に、ボーリング装置でスカート型の燃料デブリ回収装置を原子炉内に送り、臨界と水素爆発の防止のためにホウ酸とオゾン入りの高圧水また高温蒸気を装置スカート内の噴射ノズルから燃料デブリに噴射し、同時にその装置スカート外面から液体窒素を流し、燃料デブリの隙間から洩れでた水や蒸気を覆うように凍らせ装置先端部の燃料デブリを氷の中に安定して密封する。装置底辺部も氷のなか閉じ込め、回収時の蒸気反力に備える。
密封された燃料デブリにその噴射ノズルから超高圧水を噴射し燃料デブリを破砕し亀裂を生じさせる。さらに装置から電磁波を燃料デブリに照射し加熱し、燃料デブリ内の空隙や亀裂に浸透した水に伝熱させ瞬時に水を蒸発させ、その膨張力で、内部から燃料デブリを粉砕し、微粉末にし、その蒸気圧で粉末にされた燃料デブリを格納容器上に置かれた保管容器に圧送する。
保管容器はターボ分子ポンプやHeクライオポンプなどで予め連続的に低温かつ超高真空にする。
保管容器内に圧送された水蒸気と燃料デブリは、水蒸気は断熱膨張を起こし温度が低下し、結露、凍結し、燃料デブリは中性子を吸収するカドミウム入りの金属板に付着し回収される。
その後、保管容器を室温に戻し、水を抽出分離しながら、保管上有害なホウ酸などの物質を洗浄し燃料デブリだけを安定的に保管する。
低温かつ超高真空領域で燃料デブリを吸引することから、燃料デブリの回収率が99.99999999%以上と他の工法に比し圧倒的に高く、燃料デブリ回収にあたり外界に与える影響は極めて少ない。
冷却空気の必要量は燃料デブリの発熱や建屋からの入熱などに対して十分に確保できることは確認済みである。装置内には集積回路を用いないので放射線に強い。回収装置も既存技術の範囲内で製作ができる。したがって本工法の実現性は高い。