2017年秋の大会

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[1O10-14] 原子力と法・政治・安全文化

2017年9月13日(水) 15:50 〜 17:10 O会場 (フロンティア応用科学研究棟 セミナー室1)

座長:澤田 哲生 (東工大)

16:20 〜 16:35

[1O12] 政治の貧困と科学リテラシーの欠如がフクシマを生んだ

無視された新除染技術と不要だった世界一厳しい食品の基準

*川合 將義1 (1. 高エネルギー加速器研究機構)

キーワード:福島、政治、科学リテラシー、セシウム、除染、食品の基準、放射線、風評被害、シロキサン結合

東日本大震災から6年半、除染の遅れから帰還が進まず、復興が遅れている。また、福島産の食品の市場価格は回復せず、海外での日本食品への輸入規制が続いている。この状態に対して、フクシマの表記がされた。どちらも科学的に正しく判断できていれば、もっと違った状況が推察できる。
 除染では、土壌中のセシウムとシロキサン結合して安定固化する超越ガラス技術が開発し試験された。汚染土壌に噴霧して固化層を剝ぐ事で容易に除染できる。住民でも可能で、早期に使えば、セシウムの沈降を止められ廃棄土壌も少なく済む。食品の問題は、2012年3月に公布された世界一厳しい基準に由来している。これが検討された2011年の秋、宮城県、福島県、東京都の市場の食品に基づいて評価された内部被曝量は、最大でも年間0.019ミリシーベルトで、暫定基準値で十分であった。敢えて汚染率50%を仮定して新基準が作られた。これこそ、科学リテラシーに欠けた政治主導と言わねばならない。