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[1A01] SPEEDIをめぐる論争状況の批判的検証
「被害予測システム」に対する技術的・社会的期待をめぐって
キーワード:SPEEDI、原子力防災、被害予測システム、構造災
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の活用のあり方は、福島原発事故以降の原子力防災論議において大きな論点となってきた。事故直後はその計算結果の情報公開が問題になったほか、「政府事故調」と「国会事故調」が当時のSPEEDIの活用余地について全く異なる見解を示したことも注目を集めた。その後も論争は継続し、2016年3月には主要な政府機関(原子力関係閣僚会議と原子力規制委員会)が今後の原子力防災におけるSPEEDIの活用のあり方についてまたも全く異なる見解を示している。本研究は、こうした論争状況の背後にあるSPEEDIに代表される「被害予測システム」に対する社会的・技術的期待と実態のギャップの問題に切り込み、それを等閑視したまま制度の設計と運用がなされる「構造災」状況を検証する。質的な実証研究で得られた知見をもとに、本来公論に付されるべき核心的論点を整理する。