2017年春の年会

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V. 核融合工学 » 501-2 核融合炉材料工学(炉材料,ブランケット,照射挙動)

[1B15-19] トリチウム増殖材料

2017年3月27日(月) 16:40 〜 18:00 B会場 (16号館 16-102教室)

座長:近田 拓未 (静岡大)

17:10 〜 17:25

[1B17] 熱核融合炉トリチウム増殖材料としてのLi複合酸化物のリチウム蒸発挙動

*新村 潔人1、大谷 由宇1、本多 駿資1、成瀬 公平1、星野 毅2、佐々木 一哉3 (1. 東海大、2. 量研機構、3. 弘前大学)

キーワード:トリチウム増殖材料、リチウム蒸発、核融合炉、Li原子密度

熱核融合炉用トリチウム増殖材料には、高いリチウム原子密度と高温使用時の化学的安定性が要求される。研究では、代表的候補材料について、熱核融合実証炉での実使用を模した環境(900℃、1% H2/He)での熱アニールによるリチウム種の蒸発挙動を検討し、熱化学的安定性を評価した。その結果、Li2+xTiO3、Li2TiO3、およびLi2ZrO3は、リチウム種が殆ど蒸発せず、安定であった。リチウム原子密度が高いLi8ZrO6(0.69 Li-g/cm3)の焼結体は、Li/O = 2/1 (mol)比でのリチウム種の蒸発によりLi6Zr2O7を経てLi2ZrO3へと変化し、リチウム密度を低下させた。他のリチウム原子密度が高い物質であるβ-Li5AlO4(0.62 Li-g/cm3)の焼結体は、短時間の熱アニールにより焼結体表面近傍がリチウム種の蒸発によりLiAlO2へと相変化したが、表面がLiAlO2で覆われた後はリチウム種の蒸発速度が低下し、熱化学的安定性が向上した。β-Li5AlO4とLi8ZrO6の二相材料(0.65 Li-g/cm3)の焼結体も、短時間の熱アニールによるリチウム種の蒸発後は、熱化学的に安定化した。