[3J05-09] 圧力容器材料

[3J05] EDSトモグラフィを用いたフェライト相中の溶質原子クラスタ評価方法の検討

*瀬戸 仁史¹、橘内 裕寿¹、山岡 鉄史²、豊田 哲也³ (1. 日本核燃料開発（NFD）、2. 東芝、3. 日立GE)

キーワード：原子炉圧力容器、2相ステンレス鋼、照射脆化、溶質原子クラスタ、3次元アトムプローブ、透過型電子顕微鏡、EDSトモグラフィ

中性子照射を受けた原子炉圧力容器鋼において、微小な溶質原子クラスタが形成され、照射脆化の主な要因となることが知られている。これらのクラスタの評価においては、3次元アトムプローブが用いられているが、アトムプローブは測定可能な領域が比較的狭いことから、クラスタの形成状況によっては膨大な数の分析を行う必要が生じる可能性がある。
近年、材料内部の化学組成を3次元的に評価可能な手法として、EDSトモグラフィの開発が進められてきた。これは、試料を大きく傾けながら、あるステップ角ごとにEDSによる2次元元素マップを取得し、トモグラフ処理を行う手法であり、3次元アトムプローブと比較すると分解能は若干劣るものの、試料を消耗することなく、かつ比較的広い範囲を分析可能である。
本研究では、中性子照射を受けた圧力容器鋼と同様のクラスタ形成状況を示すことが知られている、熱時効した2相ステンレス鋼のフェライト相を供試材としてEDSトモグラフィ分析を行い、3次元アトムプローブによる評価結果と比較することで、溶質原子クラスタの評価におけるEDSトモグラフィの適用性を検討した。