2020年春の年会

講演情報

一般セッション

II. 放射線工学と加速器・ビーム科学および医学利用 » 203-2 ビーム計測/203-3 ビーム利用・ターゲット/203-4 放射光,レーザー

[3O01-07] 量子ビーム利用・計測

2020年3月18日(水) 10:00 〜 11:55 O会場 (共通講義棟 S棟3F S-34)

座長:林﨑 規託(東工大)

11:00 〜 11:15

[3O05] イオンビーム及びX線照射に伴う模擬文化財試料の損傷のFT-IR測定

*小栗 慶之1、長谷川 純1、福田 一志1、羽倉 尚人2 (1. 東工大、2. 東京都市大)

キーワード:文化財分析、放射線損傷、吸収線量、化学結合、FT-IR

目的:PIXE,RBS等のイオンビーム分析やXRF等のX線分析による文化財の測定は,貴重な試料を損傷する潜在的なリスクを伴う.そこで,絵画の分析を想定し,絵具の基材としての膠を模擬したゼラチン試料を用意し,これらに陽子線またはX線を照射後,試料表面の化学結合の変化を調べた.

方法:陽子線照射は2.5 MeV陽子を用いて真空中で行った.X線照射にはAgターゲットのX線管を用い,管電圧は40 kVとした.試料の吸収線量はそれぞれ100 kGy,10 Gy程度であった.表面の化学結合の変化はFT-IR(フーリエ変換赤外分光分析)で行った.

結論:陽子線照射によりFT-IRスペクトル上でN-H,C=O等の化学結合に起因する吸収ピークの強度に変化が見られ,アミド基の一部が分解されたことが示唆された.一方,X線照射ではスペクトルに有意な変化は見られなかった.