第60回全日本病院学会

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日本メディカル給食協会企画

日本メディカル給食協会企画

Sat. Oct 6, 2018 1:10 PM - 2:40 PM 第2会場 (パレロワイヤルC)

座長:吉田憲史 (公益社団法人日本メディカル給食協会前会長 / 相談役・理事・学術衛生委員会委員長 / 株式会社九州フードサプライセンター 代表取締役会長 / 医療法人起生会 表参道吉田病院 理事長)

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 国内総人口(平成30年2月1日現在確定値)は、1億2660万9千人で前年同月に比べ18万1千人減少(▲0.14%)。日本人人口は、1億2449万5千人で前年同月に比べ40万3千人減少(▲0.32%)であります。人口動態が毎年減少傾向にある中、65歳以上の高齢者ひとりに対して、20歳~64歳の人数は、1950年は10人でしたが、2000年は3.6人となり、2050年には1.2人で支える時代になることを厚生労働省では予測しております。つまり、「胴上げ型」から「肩車型」社会へシフトされる構造です。
 そのような背景から、病院給食を取り巻く環境も著しく変化し大変厳しい時代になることを懸念しております。以前は、直営から委託へ切り替わる条件として、正社員比率を下げ、パート雇用を推進していく手法で直営よりもコスト削減が図れ、スケールメリットをもたらすことが出来ました。しかし昨今では、パート雇用も難しく、人手不足で人件費が高騰しており、これまでの管理費では賄え切れず、値上げ交渉に転じていかなければならない病院も増えました。
 平成29年度病院会計(厚労省)では、患者一人一日当たりの給食部門の収支は、全面委託・一部委託・直営のすべてで赤字となっております。これは、委託費には消費税が掛かること、人件費の高騰、パート雇用の減少、水光熱費および食材費の値上がりに加え、ノロウイルスによる感染拡大防止のための出勤停止による休業補償と応援要請などのためと考えられます。これは、直営でも委託でも同様の問題であります。病院給食の場合、医療関連サービスマーク、大量調理施設マニュアル、入院時食事療養費、HACCPなど、安全を担保するためのルールが数多くあります。特に、衛生基準においては、食事提供のみではなく、ダクト、設備器機類、グリーストラップなどの清掃業務も含まれ、さらに、大型急性期病院での早番勤務は深夜勤務の時間帯に出勤しなければならない状況下にあり、業務範囲の見直しと衛生システムや設備の導入などによる抜本的な改革が急務であると感じております。
 シンポジウムでは、今後、給食委託会社も人手不足は大きな課題であり、(公社)日本メディカル給食協会としても深刻な問題である中、大手給食委託会社の二社の人事担当者より、現状の取り組みと今後の対策について発表をして頂きます。また、基調講演では、厚生労働省、労働基準局労働関係法課長および雇用・均等局有期・短時間労働課長にご登壇頂き、2018年4月に開始された改正労働契約法「無期転換ルール」の進捗状況、2019年4月(予定)に導入がスタートする「同一労働同一賃金」の契約社員やパートの待遇、正社員との間に「不合理な格差を設けることを禁止」について、具体的な方針や根拠について説明を頂きます。
 今後、給食委託会社は、人手不足の中、人材雇用や退職者の軽減など、如何に人を大切にし、働きやすい環境が整えられるか・・これを機に改めて将来へ向け、皆様と一緒に前向きな姿勢で真剣に考えたいと思います。