第60回全日本病院学会

セッション情報

医業経営・税制委員会

医業経営・税制委員会
「どうなる!!病院消費税」

2018年10月7日(日) 14:40 〜 16:10 第3会場 (パレロワイヤルB)

座長:中村康彦 (公益社団法人全日本病院協会 副会長 / 医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院 理事長 / 医業経営・税制委員会 委員長)

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 平成の元号とともにスタートした消費税であるが、原則は「役務の提供などを受けた者が最終消費者として税の負担をすべき」として発足された税制である。しかしご存知の通り「医療」についてはその性格上「課税対象になじまない」とされ、扱いを非課税としてスタートしている。
 その後30年にわたり医療は5%、8%と消費税率引き上げの際にも非課税のまま据え置かれ現在に至っているが、消費税は税制上「課税売上のための課税仕入」しか税額控除ができず、主な収入が非課税でスタートした医療機関はその収入のほとんどが非課税であるが故「医薬品」「診療材料」など収入を得る際に必要な支出に係る消費税は最終消費者(患者)に転嫁できず医療機関の負担となっていることが現状である。これが「損税=控除対象外消費税」と言われている問題である。
 この控除対象外消費税負担の問題は病院の経営を圧迫し、さらに、ここ数年来問題となっている「紹介料」「派遣料」「給食委託」などの課税対象費用の増加がより一層拍車をかけ病院存続の危機を至らせている現状を生み出している。
 厚生労働省は消費税発足時、および過去2回の増税時において0.76%(3%)、0.77%(5%)、1.36%(8%)を診療報酬へ消費税分として上乗せ補填したことを公表している。
 しかし、医療機関側としては果たしてこの補てん率の妥当性に疑念がもたれている。
 8%となった現在、平成28年度の福祉医療機構のデータによると医業収益対医業利益率は一般病院0.3%療養病院4.7%、更に病院の赤字割合が一般病院41.2%療養型病院23.0%という結果が出されている。
 特に一般病院の全体で利益率が1%を切ったインパクトは強烈でありこの様な状態では設備投資どころか維持もままならないことを示している。
 更に増税となると、より一層我々医療機関にとっては危機的な状況となってくることが予想される。
 そんな危機的状況が続くなかでも時間の流れは止まらず、現在の状況では来年10月に消費税10%への引き上げが「予定通り」行われることとなる。
 消費税増税を前に平成30年度税制改正要望においては消費税が10%に引き上げられるまでに、抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずるよう総合的に検討し結論を得ることが記された。
 そこで、医業経営・税制委員会では、来るべき消費税増税が社会保障制度改革にも直結するという認識も踏まえて、厚生労働省、病院、税理士それぞれの立場から来るべき消費税増税における対応を議論していきたい。