第60回全日本病院学会

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シンポジウム

シンポジウム3
「どうなる、どうする医師の働き方改革」

Sun. Oct 7, 2018 2:10 PM - 4:20 PM 第1会場 (パレロワイヤルD)

座長:神野正博 (公益社団法人全日本病院協会 副会長 / 社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院 理事長)

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 敢えて、この抄録は7月20日現在のものであることを明記する。なぜならば、本学会開催直前まで、様々なデータが提出され、多くの議論がなされることだろう。その結果、コンセンサスが得られるもの、得られないものが明確になっている可能性があるからである。
 働き方改革関連法が6月29日の参院本会議で可決、成立し、これ以降、本年末にかけての期間が医師の働き方についての検討の主戦場となる。それは、平成29年6月5日労働政策審議会建議にて、医師の働き方についてこれより2年後である平成30年度終わりまでに規制の具体的なあり方、労働時間の短縮策などについて検討し、その5年後から規制を適用することとなっているからだ。
 医師の働き方改革は、医師需給、医師偏在(地域、診療科、入院外来)対策や専門医制度のあり方とも大いに関係がある。もし、これらのいずれかの要素で間違った方向へ舵が切られ機能不全に陥った上に医師の働き方規制が厳しいものになるならば、地域医療は崩壊するに違いない。したがって、医師の働き方改革は、単一論理ではなく、まさに多変量の解析によって検討すべきこととなるだろう。
 本企画では女性医師であり政治家の自見はなこ・参議院議員、医師需給・偏在対策などの医療提供体制を主管する厚生労働省の武田俊彦・前医政局長、アカデミアから河原和夫・東京医科歯科大学大学院教授をお迎えして議論する。その中で、医師と医療の特殊性をどこまで主張するのか、労働と自己研鑽は区別できるか、医師のキャリア別の労働時間の考え方(特に研修医と専門医の上限は同じか)、医師の健康確保対策、労働関連法令と医事法制の整合性、そして国民に対していかに理解を求めるかなどを中心に、今後の行方を占いたい。
 既に、主張だけではなく、実際の対応に迫られる時期であるという認識の下、われわれ病院は、自らの存続のために何に対していかなるマイルストーンで対応すべきかを考えてみたい。