第61回全日本病院学会

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プライマリ・ケア検討委員会

プライマリ・ケア検討委員会
地域に求められる病院総合医

Sun. Sep 29, 2019 9:00 AM - 10:30 AM 第4会場 (レセプションホール 東)

座長:牧角寛郎(公益社団法人全日本病院協会 理事/公益社団法人全日本病院協会 プライマリ・ケア検討委員会 委員長/社会医療法人 サザン・リージョン病院 理事長) ,井上健一郎(公益社団法人全日本病院協会 常任理事/公益社団法人全日本病院協会 プライマリ・ケア検討委員会 委員/社会医療法人春回会 井上病院 理事長)
演者:前野 哲博(公益社団法人全日本病院協会 プライマリ・ケア検討委員会 特別委員/筑波大学 医学医療系 地域医療教育学 教授/筑波大学附属病院 副院長) ,南郷栄秀(JCHO城東病院) ,須田雅人(公益社団法人全日本病院協会 理事/医療法人赤枝会 赤枝病院 院長) ,陰山寛(社会医療法人春回会 長崎北病院 内科部長)

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急速に進む少子高齢化や人口減少などの社会構造の変化や、国および地方の財政問題や働き手不足に起因する医療の持続可能性への不透明感等、病院を取り巻く環境は激変しており、地域に密着した診療活動の中で実体験として、我々会員病院はこうした環境の変化への強い危機感を抱いている。すなわち「治すために一時的に入る病院」から「高齢者が地域で生活を続けることを支える」機能をも有する病院に変容することが強く求められている。2017 年には新専門医制度がスタートし「総合診療専門医」が新たな専門領域として承認された。多領域に跨って診療を行う総合診療専門医の育成は、認知症や多疾病を抱えて生きる高齢患者が増加している中で「高齢者が地域で生活を続けることを支える」ために必要不可欠なものと考える。しかし、2018 年から育成の始まった同専門医が広く地域の
医療機関に根差して活躍するまでには、まだまだ時間を要する。
 こうした状況下で、すでに多くの医療機関で専門性を有した医師がその専門領域以外の場面で活躍する機会が増加している。そこで、当協会ではそうした医師の更なるキャリアアップの一助とすると同時に、総合診療医のもつコンピテンシーを理解・共有し、職場において専門医と協働できる環境の醸成を目的とし2018 年度より新たに「全日本病院協会 総合医育成プログラム」を開始した。これは現在各病院で働いているいわばベテランの医師を対象に、診療の場面で一歩踏み出す能力の獲得に加えて他診療科や他職種との連携に必要なリーダーシップやチームビルディング、人材育成についての学習、さらに日本の医療制度や医療環境を知ることで会員病院の未来像を描ける能力を身につけてもらい組織の運営に積極的に関与できる人材としてのキャリア形成を目指すものであり、初年度は58
名の参加で研修がスタートした。
 本セッションでは、当協会プログラムを受講している医師を交えて、地域に密着したわれわれの病院・施設においてどのような医師が地域・患者から求められており、今後どのような役割を果たしていけるかということを「総合医」を軸として討論したい。講演と討論を通して地域医療に深く関わる全日本病院協会会員病院にとっての総合医の役割が明確になれば幸いである。

演者:前野哲博1,2,3 (1.公益社団法人全日本病院協会 プライマリ・ケア検討委員会 特別委員, 2.筑波大学 医学医療系 地域医療教育学 教授, 3.筑波大学附属病院 副院長)