第61回全日本病院学会

セッション情報

シンポジウム

シンポジウム3
官民格差徹底討論!

2019年9月28日(土) 15:10 〜 17:30 第1会場 (センチュリーホール)

座長:太田圭洋(社会医療法人名古屋記念財団 名古屋記念病院 理事長),
シンポジスト:長英一郎(東日本税理士法人 代表社員) ,小熊 豊(公益社団法人全国自治体病院協議会 会長) ,中川俊男(公益社団法人日本医師会 副会長) ,末永裕之(一般社団法人日本病院会 顧問/小牧市民病院 事業管理者) ,加納繁照(公益社団法人全日本病院協会 常任理事/一般社団法人日本医療法人協会 会長/社会医療法人協和会 加納総合病院 理事長・院長)

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(学会長からの企画のねらい)
 病院経営における官民の格差の問題は、以前から多くの民間病院経営者から訴えられてきた問題である。公立病院には、その提供している政策医療や不採算医療を理由に補助金や繰入金として年間8000 億円もの巨費が投入されている。そのため地域で同じような医療を行っている民間病院はあまりにも不利であり、イコールフッティングを求めるとの意見である。
 ただ、この問題が近年、大きく主張されるようになったのは、直近進んでいる地域医療構想を含む医療提供体制の改革の中で、この問題が解決されないことには、民間医療機関の存続にかかわるという点にとどまらず、真に効率的な地域医療提供体制につながらないのではないかと危惧されているからである。
 しかしこの問題は複雑である。地域に公的病院しか存在しない地区もある。また公的病院にも、公立病院だけでなく日赤や済生会、JCHO など税制優遇や補助金の状況はさまざまであり、ひとまとめに議論できるものではない。公立病院はステークホルダーも多く、さまざまな制約の中で病院運営を行わざるを得ない事情もある。
 現在、三位一体という形で進む地域医療構想、医師の働き方改革、医師偏在対策など医療提供体制の改革は、ここ数年のうちに、将来の地域の医療の姿を決めてしまう大改革であり、官民格差の問題をどのように考え、どのように対応していくかは、将来の我が国の医療に大きな影響を及ぼす。
 この問題は、過去、議論しても、官民のお互いの主張はすれ違い単にお互いを非難することになることも多かったため、議論を避けてきた面がある。ただ、現在は、地域医療構想の中で、公立病院の代替可能性まで議論することが求められ避けて通れない課題となっている。
 将来の日本に、効率的な地域医療提供体制を構築していくためには、どのように官民が役割分担していくことが重要か、官民の論客の方々に本シンポジウムにはお集まりいただいた。このシンポジウムでの議論が、各地域での医療提供体制の議論に、そして真に効率的な地域医療の姿につながれば幸いである。

シンポジスト:加納繁照1,2,3 (1.公益社団法人全日本病院協会 常任理事, 2.一般社団法人日本医療法人協会 会長, 3.社会医療法人協和会 加納総合病院 理事長・院長)