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[47] 長野県小布施町における「通り門」の利用実態と空間特性
キーワード:通り門、長屋門、農的利用、居住利用、冗長性
本研究は,長野県小布施町に現存する「通り門」の利用実態と空間特性を明らかにすることを目的としている.通り門は,敷地に隣接する水路の利用に由来して成立し,農業利用だけでなく,水害対策の意味もあったとされている.まず通り門の分布や特徴を明らかにするため外観目視調査とアンケート調査を行い,さらに事例調査によって詳しい使用状況を明らかにした.1980年頃からはライフスタイルや家族構成の変化に伴い,車庫や子供部屋など,農業以外の目的でも使用されるようになっていることが確認された.現在でも多くの所有者が通り門を生活に必要であると考え,修理や改築をしながら利用し続けている。通り門は,時代によってその役割が柔軟に変化する,家族にとっての冗長的な空間であり、地域の生活に根ざした特有の建築の形式と言える.