2021年度全国大会(第56回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[66]-[71]

2021年11月6日(土) 12:40 〜 15:00 第VI会場 (共通講義棟C EL44)

司会:荒木 裕子(名古屋大学)、及川 康(東洋大学)

13:20 〜 13:40

[68] 2016年熊本地震における益城町被災者の民間借上げ仮設住宅を経た住宅復興過程の特徴と課題

-建設型仮設住宅及び東日本大震災との比較

○上山 紘平1、近藤 民代2、渡邉 萌3、円山 琢也4、米野 史健5 (1. パナソニックホームズ株式会社、2. 神戸大学大学院工学研究科、3. 熊本大学大学院自然科学研究科、4. 熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センター、5. 国立研究開発法人建築研究所住宅・都市研究グループ)

キーワード:借上げ仮設住宅、応急仮設住宅、2016年熊本地震、住宅復興

借上げ仮設住宅については、東日本大震災で被災者の被災地からの転出など課題が示された。本研究では民間借上げ仮設住宅を経た住宅復興過程の特徴と課題を明らかにするために、2016年熊本地震において益城町で被災し、借上げ仮設住宅へ入居した世帯へのアンケート調査を行った。それらを同じく益城町での建設型仮設住宅の調査及び、東日本大震災における岩手県での調査と比較し、益城町被災者が入居した借上げ仮設住宅の特徴と住宅復興における課題を明らかにした。東日本大震災では借上げ仮設住宅への入居時に被災市町村から転出した世帯のほとんどが戻ってきていなかったが、熊本では多くの世帯が転出後でも元の市町村で再建をしおり、借上げ仮設住宅への入居が被災前の生活圏内に留まる場合は被災者の大規模な転出には必ずしも繋がらないことが分かった。しかし、一方で単身者や非高齢世帯では借上げ仮設住宅入居時の転出後、元の市町村外での再建が起こっていた。特に単身高齢者では顕著で、それらを防ぐためには行政の支援や住宅復興政策の見直しによって単身高齢者世帯との借上げ仮設入居に伴う孤立を防ぐ必要がある。