2021年度全国大会(第56回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[133]-[135]

2021年11月7日(日) 13:00 〜 14:00 第VI会場 (共通講義棟C EL44)

司会:鄭 一止(熊本県立大学)

13:40 〜 14:00

[135] 海綿都市の理念を導入した既存住宅団地の改修事業における効果に関する研究

-中国鎮江市における2015~2017年に改修された8つの団地を事例にして

○徐 姗姗1、朝廣 和夫1 (1. 九州大学)

キーワード:海綿都市、雨水管理、既存団地改修

本研究では中国海綿都市建設の代表的な試行都市の一つである鎮江市を研究対象とし,海綿都市を導入した既存住宅団地における改修事業の施策・手法の把握と,雨水管理と維持管理の効果と課題について明らかにすることを目的とする。鎮江市における2015~2017年に改修された8つの団地から分析を行うことにより既存団地の海綿化改修において, 海綿都市づくりと同時に団地の総合整備を実施する施策が推進されていたが,実際には,多くの団地が雨水管理システムの構築(雨水と汚水の分流式排水の管渠整備,海綿施設の導入)を主とした改修事業を行う傾向が見られた。また,各団地特性に基づく透水性舗装,沈下式緑地と生物滞留施設(雨庭,バイオスウェル),雨水タンクなどの海綿施設が多く採用され,各施設を連動しながら雨水管理が行われていることが把握された。海綿化改修を通して,団地内の浸水・冠水リスクを緩和し,水質汚染の改善により,実質的な効果が得られており,住民もその効果を評価していた。一方,団地内の海綿施設の管理の責任主体や内容が不十分となっていた。海綿都市の機能を維持するためには,より管理責任の明確化や資金保障,そして,専門的な技術指導が必要であると考えられた。さらに住民参加の促進を進め,長期的に有効な管理方法の検討が,今後の課題である。