第60回日本生物物理学会年会

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会員総会・第9回会員総会シンポジウム「内藤記念科学振興賞受賞報告」

2022年9月29日(木) 12:35 〜 13:35 F会場 (函館市民会館 大ホール)

司会:田端 和仁(東京大)

本年度の総会シンポジウムでは,2021 年度に内藤記念科学振興賞を受賞された,金沢大学の安藤敏夫氏に講演をいただく。安藤氏はタンパク質の「動き」を直接観察することを目標に,1993 年より高速原子間力顕微鏡の開発を一貫しておこなってきた。そして,2010 年に世界で初めてミオシンV がアクチンフィラメント上を動く様子を捉えることに成功し,世界を震撼させた。それ以降もセルロース表面上のセルラーゼの加水分解を伴うスライディング運動の可視化や,回転軸を持たないF1-ATPase の構造変化の回転伝播,バクテリオロドプシンの光による構造変化など多数のタンパク質の動きを高速AFM で可視化している。現在では,タンパク質の動きを直接可視化する唯一の技術として認知されている。これら成果により,2021 年度の内藤記念科学振興賞が授与された。また,本賞以外にも多くの賞を受賞していることから,本技術の世界的な評価も高いことがわかる。今回のシンポジウムは安藤氏の受賞をお祝いするとともに,総会シンポジウムでの講演を通して,会員の皆様とともに受賞の喜びを分かち合いたいと企画された。学会員へのメリットの一つとして,このような賞への推薦がある。学会員が様々な分野で活躍し,成果を上げることは生物物理学会としても大変うれしいことであり,そのような会員に対して受賞の機会を提供していきたい。その一環として,学会からの推薦があり,多くの会員に利用していただきたいと考えている。