JSCN2019

Session information

Special Symposium

[PS1] Special Symposium 1

Fri. May 31, 2019 10:10 AM - 12:10 PM Room 1 (Century Hall, 2F, Bldg.1)

Chair: Yoshihiro Maegaki (Department of Child Neurology, Faculty of Medicine, Tottori University), Hiroyuki Yamamoto (Department of Pediatrics, Nagoya University Graduate School of Medicine)

企画・趣旨のねらい

山本啓之(Hiroyuki Yamamoto)
名古屋大学大学院医学系研究科小児科学
深沢達也(Tatsuya Fukasawa)
安城更生病院小児科
根岸 豊(Yutaka Negishi)
岐阜県立多治見病院小児科

 急性脳症は小児の感染症の最も重篤な合併症であり,1980年代から注目され始めた.1990年代から2000年代にかけて急性壊死性脳症,けいれん重積型(二相性)急性脳症,可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症などの概念が提唱され確立されてきた.2004年にはインフルエンザ脳症ガイドラインが,2016年には小児急性脳症診療ガイドラインが発刊され疾患概念および治療は小児医療に携わる者の中で普及してきている.それに伴いインフルエンザ脳症の致死率は1980年代には30%であったものが,2005年以降では7—8%と低下した.しかし,その後は予後,死亡率の大きな改善がみられていない.
 早期診断,治療に関する様々な試みは各施設から毎年発表されてはいるが,小児急性脳症の発症は国内で年間400—700人と推定されており,1施設あたりの経験数は多くない.また,急性脳症に対する評価,維持管理方針が施設間で異なっている現状では,新たな治療も効果を評価することができない.全国レベルでの統一した基準による知見の集積が望まれる.
 本シンポジウムでは,臨床症状,画像所見に基づいた急性脳症の診断に関してはある程度の知見がすでに蓄積され共有されていると考え,新たな診断方法,統一した維持管理治療,新たな治療方法に関する話題を議論の中心としている.新生児低酸素性虚血性脳症における低体温療法全国登録事業—Baby Cooling Japan—の経験を参考とし,全国レベルでの知見の集積へむけた第一歩となれば幸いである.