JSCN2019

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[SSY] Sponsored Symposium

Sat. Jun 1, 2019 3:40 PM - 5:10 PM Room 1 (Century Hall, 2F, Bldg.1)

Chair: Hirofumi Komaki (Department of Clinical Research Promotion, National Center Hospital, National Center of Neurology and Psychiatry), Keiko Ishigaki (Department of Pediatrics, Tokyo Women's Medical University, School of Medicine)

企画・趣旨のねらい

小牧宏文(Hirofumi Komaki)
国立精神・神経医療研究センター
石垣景子(Keiko Ishigaki)
東京女子医科大学小児科

 脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)は,SMNタンパク質の欠乏により,下位運動ニューロンが変性し,四肢や体幹の筋萎縮をもたらす常染色体劣性遺伝の神経筋疾患である.SMA患者の約95%がSMN1遺伝子の欠失または変異によるSMNタンパク質の不足が起こり,脊髄前角細胞の下位運動ニューロンの変性が変性し,骨格筋や肋間筋の脱神経が進行する.2017年7月に,SMN2 mRNAをターゲットする核酸医薬品であるヌシネルセン(商品名スピンラザ髄注12 mg)が乳児型SMAに対する適応で薬事承認され,同年9月に,乳児型以外のすべてのSMAに対して適応が拡大され,以降,乳児,小児,成人例と様々なSMA患者に対して臨床使用がされている.ヌシネルセンの主な臨床試験としては,国際共同第三相臨床試験として,乳児型SMA(主に1型)を対象としたENDEAR試験(R.S.Finkel et.al N Engl J Med 2017)と2型又は3型小児患者を対象としたCHERISH試験(E.Mercuri et.al. N Engl J Med 2018)において,無作為化・二重盲検・シャム処置対照試験が,それぞれ121例,126例において実施されている.臨床使用が可能となってからは,臨床試験では検討されていない進行例や成人例などでの臨床経験も蓄積されつつあり,また,重度側弯症例に対する髄腔内投与についても,麻酔科や整形外科・脊椎外科などの専門家の関与により,当初困難と思われた例においても投与が可能となってきている.さらに,治療評価やリハビリの実施においても,理学療法士や作業療法士などの関与により,薬物治療による効果の最大化や視覚化が可能となってきている.本シンポジウムでは,ヌシネルセンによる国内のこれまでの臨床経験並びに今後の課題について,特に治療と患者フォローアップにおける多科連携について,活発な討議を行える場としたい.