JSCN2019

Session information

Symposium

[SY11] Symposium 11
iPS cells and genome editing in child neurology

Sat. Jun 1, 2019 10:10 AM - 12:10 PM Room 5 (Reception Hall (West), 4F, Bldg. 1)

Chair: Katsunori Fujii (Department of Pediatrics, Chiba University Graduate School of Medicine), Toshiyuki Miyashita (Department of Molecular Genetics, Kitasato University School of Medicine)

企画・趣旨のねらい

藤井克則(Katsunori Fujii)
千葉大学大学院医学研究院小児病態学
宮下俊之(Toshiyuki Miyashita)
北里大学医学部分子遺伝学

 ヒトの臓器である脳や脊髄は基本的に再生をしない.したがってヒト細胞を初期化してこれら臓器を再生することは積年の課題であった.2016年山中らにより細胞の初期化に必要な4因子(Oct3/4, c—Myc, Klf4, Sox2)が同定され,まずマウスiPS細胞が,翌2017年にはヒト線維芽細胞を用いたhuman iPS細胞が作製されて再生医療の扉が開かれた.2012年にはシャルパンティエらとダウドナらによって,CRISPR/Cas9によるゲノム編集がScience誌に報告され,ゲノムを自在に操作することが可能になった.これにより疾患メカニズム解明から治療介入の道筋が開かれ,まさに現代医療のパラダイムシフトを迎えた.
 iPS細胞とゲノム編集を用いた医療は次の4点で重要な意味を持つ.第1に組織・臓器・器官発生研究として生命の源の解明が期待される.ヒト胚に代わるiPS細胞は発生初期の遺伝子構成や組織分化の解析に大きな力を発揮する.第2に再生医療のリソースとして大脳・脊髄・網膜・血液分野の細胞治療が加速している.細胞治療の段階から今後新たな移植医療の開始が予想される.第3に疾患成立の再現から病態解析のツールになる.多くの疾患由来iPS細胞が作製されており疾患機序が徐々に明らかになるだろう.第4に薬剤スクリーニングにiPS細胞を用いて,個人の遺伝子バックグラウンドに応じたテーラーメードの医療が可能になる.
 本シンポジウムでは,iPS細胞とゲノム編集の基礎研究を行われている先生方にその最前線をお話しいただくこととした.北畠康司先生は大阪大学でダウン症候群のiPS細胞研究を精力的に進められており,小児医療での数少ない臨床応用のお話を期待している.曽根正光先生は京都大学iPS研究所において血小板研究の江藤浩之教授とともに基礎研究を展開されている.宮下俊之教授は北里大学でヘッジホッグシグナルのiPS細胞とゲノム編集研究で多くの業績がある.今回,新たなテクノロジーが拓く再生医療について考えることで,急速なゲノム科学の進歩を理解するとともに将来の小児神経学の治療展開を実感していただければ幸いである.