第61回日本小児神経学会学術集会(JSCN2019)

セッション情報

シンポジウム

[SY14] シンポジウム14
自己抗体介在性脳疾患診療の進歩

2019年6月1日(土) 13:30 〜 15:30 第5会場 (1号館4F レセプションホール(西))

座長:高橋幸利(静岡てんかん神経医療センター小児科,岐阜大学医学部小児科), 佐久間啓(東京都医学総合研究所脳発達・神経再生研究分野こどもの脳プロジェクト)

企画・趣旨のねらい

佐久間 啓(Hiroshi Sakuma)
東京都医学総合研究所脳発達・神経再生研究分野こどもの脳プロジェクト

 自己抗体が関与する免疫性神経疾患としてはギラン・バレー症候群や重症筋無力症などが知られていたが,脳疾患と自己抗体との因果関係が明らかになったのは比較的最近のことである.その後中枢神経系の様々な分子に対する自己抗体が次々に同定されているが,同時に一つの自己抗体が多彩な臨床症状と関連することも明らかとなりつつある.これらはいずれも治療可能な疾患であることから,その臨床スペクトラムを理解することは小児神経科医にとって必要不可欠なものとなりつつある.小児で陽性となる自己抗体は比較的限られており,抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(MOG)抗体と抗NMDA受容体抗体の頻度が最も高い.これらの存在は特徴的な臨床症状・脳画像所見などからある程度予測することが可能である.そこで本シンポジウムでは自己抗体介在性の脱髄性疾患ならびに脳炎を取り上げ,その診断と治療の進歩について臨床的な視点から解説する.これらを通じて,免疫性神経疾患が疑われる症例に対してどのような自己抗体を想定し,どのように治療するかという診療のエッセンスを体得することを目指す.

松岡貴子 (国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部,東京都医学総合研究所こどもの脳プロジェクト,東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻国際生物医科学講座発達医科学分野)