小林廉毅 (東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
Session information
Symposium
[SY9] Symposium 9
Fri. May 31, 2019 3:40 PM - 5:10 PM Room 3 (Shirotori Hall (South), 1F, Bldg. 4)
Chair: Akira Oka (Department of Pediatrics, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo), Eiji Kitazumi (National Rehabilitation Center for Dhildren with Disabilities)
企画・趣旨のねらい
岡明(Akira Oka)
東京大学大学院医学系研究科医学部小児科
前垣義弘(Yoshihiro Maegaki)
鳥取大学医学部脳神経小児科
わが国の脳性麻痺の実態に関する疫学的研究は少なく,周産期医療の更なる向上や将来の脳性麻痺児に関する医療・福祉施策を進めるためにも,正確な実態把握が重要である.脳性麻痺児の疫学調査および重度脳性麻痺児の看護・介護の調査を,複数の地域で同じ基準を用いて実施し,最新の実態を把握することができたのでシンポジウムの形で報告する.
脳性麻痺児の疫学調査では,鳥取県,徳島県,栃木県の療育施設や病院における脳性麻痺児の診療録等をもとに脳性麻痺児の実態に関する情報を集約し,各県における2009年から2013年までの5年間(鳥取県は2004年から2013年までの10年間)の脳性麻痺の発生率や治療状況,看護・介護状況等の脳性麻痺児の実態を明らかにした.これらの調査は,各県における調査対象,脳性麻痺の判断基準,使用する調査票や調査フロー等の調査方法を標準化したうえで実施した.
3県における脳性麻痺の発生率は出生1,000対1.7といった結果が得られ,従来の報告とも同じ傾向であり,3県間の傾向に大きなばらつきはなかった.各県の分担調査者が小児神経専門医であり,高い精度で脳性麻痺の判断がなされたことからも,信頼性が高い結果が得られたと考える.
今回のセッションでは,主任調査者より3県の調査結果の概況を報告の上,分担調査者より各県の調査結果について報告する.また,各県の地域性による相違についても意見交換を行うため,全国のどの地域の会員にも参考になる内容であると考えている.
重度脳性麻痺児の看護・介護の調査では,産科医療補償制度で補償対象となった重度脳性麻痺児の保護者を対象に実施したアンケート調査結果を,日本小児神経学会員にも作成いただいている専用診断書のデータ等と突合し,重度脳性麻痺児が利用している福祉サービスや児の世話をする家族の実態等の現状を明らかにした.
今回のセッションでは,疫学調査結果と併せて,脳性麻痺児の看護・介護の現状について,3県の分担調査者とともに意見交換を行う.
全国の脳性麻痺児の診療に関わる会員の皆様にとって有益な情報であり,ぜひ本シンポジウムにご参加いただきたい.
前垣義弘,山田博之 (鳥取大学医学部脳神経小児科)
東田好広,香美祥二 (徳島大学大学院医歯薬学研究部小児科)
下泉秀夫1,2, 山岸裕和1,3 (1.国際医療福祉リハビリテーションセンターなす療育園小児科, 2.国際医療福祉大学大学院医療福祉学分野, 3.自治医科大学小児科)
後藤励 (慶應義塾大学大学院経営管理研究科)