[YSS1-1] 1)特殊ミルク事業の課題と今後
薬事1-1
谷口顕信 (厚生労働省健康局難病対策課)
学会委員会主催セミナー
2019年5月31日(金) 15:40 〜 17:10 第4会場 (1号館4F 会議室141+142)
座長:中川栄二(国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科), 高橋幸利(静岡てんかん神経医療センター小児科)
企画・趣旨のねらい
高橋幸利(Yukitoshi Takahashi)
静岡てんかん神経医療センター小児科
抗てんかん薬では発作抑制困難な難治てんかん症例はてんかん症例の37%を占め,てんかん外科治療の適応がなく,合理的多剤併用薬物療法でも発作が抑制できない場合にケトン食療法が試みられる.断食中のてんかん発作改善をヒントに始まったケトン食療法の歴史は古く,1921年にWilderが報告したことに始まる.合理的多剤併用療法に見られる眠気などの副作用が少なく,ケトン食療法のてんかん発作抑制機序の科学的根拠も明らかになってきて,1995年以降,急速に世界中で行われるようになってきている.
ケトン食療法に不可欠なケトンフォーミュラは登録外ミルクで,製乳メーカーの社会貢献により年間約100例に対し供給され,約1億円/年の費用となっている.今後の際限のない供給量の増加には,生産設備や費用などの観点から対応が難しく,ケトンフォーミュラ安定供給のための永続可能な政策を検討する必要がある.
日本小児科学会では,2016年より日本小児連絡協議会治療用ミルク安定供給委員会を設置し,ケトンフォーミュラを含む特殊ミルクの供給問題を検討してきている.その経緯を報告し,適正使用を会員全員で考えたい.
谷口顕信 (厚生労働省健康局難病対策課)
青木菊麿,横山和紀 (母子愛育会総合母子保健センター)
菅野貴浩 (株式会社明治研究本部研究戦略統括部)
中村公俊1,2, 高橋幸利2, 位田忍2, 川井正信2, 濱崎祐子2, 伊藤哲哉2, 大浦敏博2 (1.熊本大学生命科学研究部小児科, 2.厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業中村班特殊ミルクワーキンググループ)
高橋幸利 (静岡てんかん神経医療センター小児科)