第1回新型コロナウイルス研究集会

教育セミナーのご案内

教育セミナーのご案内
教育セミナーを以下3社様ご協賛にて企画しております。
聴講者用弁当を配布予定です。

6月8日(木)ランチョンセミナー1
開催日時: 6月8日(木)12:30-13:30
共催: 武田薬品工業株式会社
演題名: 新型コロナウイルスの進化と流行動態
座長名前・所属: 橋口 隆生(京都大学医生物学研究所)
演者名前・所属: 伊東 潤平(東京大学 医科学研究所 感染・免疫部門 システムウイルス学分野)
抄録: ウイルス感染症の制圧が難しい一因は、ウイルスが新たな変異を獲得し、進化することにある。COVID-19パンデミックにおいて、様々な「変異株」が次々と出現し、その都度新たな流行の波が引き起こされてきた。重要なことに、変異株はそれぞれ異なるウイルス学的性状(伝播力、病原性、免疫逃避能)を有しており、医療や公衆衛生に対するリスクがそれぞれ異なることが知られている。したがって、次に流行する変異株(次期流行株)を流行の超早期段階で特定し、その性質を明らかにできれば、次の流行の波のリスクを事前に評価できると期待される。しかし、そのような事前のリスク評価は実現可能だろうか?
本講演では、これまでの新型コロナウイルスの進化と流行の軌跡を俯瞰しつつ、発表者が行ってきた次期流行株の超早期同定についての取り組みを紹介する。さらに、G2P-Japanコンソーシアムでの活動を例に、基礎ウイルス学との連携により次期流行株の性質を流行前に明らかにできることを示す。最後に、パンデミックにおけるウイルスの進化と流行の法則を理解し、予測に活かすための様々な取り組みを紹介したい。

► 6月8日(木)イブニングセミナー1
開催日時: 6月8日(木)
共催: タカラバイオ株式会社
演題名: 次世代シーケンサーを用いたウイルスゲノム解析
座長名前・所属: 北川 正成 (タカラバイオ株式会社)
演者名前・所属: 佐藤 昭之(タカラバイオ株式会社 遺伝子解析センター)
抄録: タカラバイオ株式会社は、新型コロナウイルス検出用PCRキットとして、2020年5月に唾液検体からRNA精製工程を必要としない迅速、簡便に検出可能な検査キット「SARS-CoV-2 Direct Detection RT qPCR Kit」を発売し、2020年11月には、厚生労働省から薬事承認を得た体外診断用医薬品「Takara SARS-CoV-2 ダイレクトPCR検出キット」を発売しました。さらに変異株の遺伝子変異検出用の研究用試薬や2021年9月には、下水からの新型コロナウイルス検出用キットも開発・販売しました。さらに試薬以外にも全ゲノムシーケンス受託など、ニーズに応じた製品・サービスを開発、提供し、自社技術の実用化を通じて、新型コロナウイルスの感染症対策に貢献して参りました。一方、CDMO事業では大規模な細胞遺伝子プロセシング施設を有し、遺伝子導入用ウイルスベクターやワクチンの製造から品質管理までを一貫して対応するなど、ウイルス関連の製品や受託サービスも積極的に展開しております。
その中でも特に次世代シーケンサー(NGS)を用いたウイルスゲノム解析に関しては、シーケンス長・シーケンス量など様々な特徴を有するNGSを使い分けて活用し、ウイルス感染症研究・製品モニタリングなどの品質管理・ウイルスベクター品質保証などの目的をはじめ、広く応用したサービスを提供しています。
本セミナーでは、以下のウイルスゲノム解析事例を中心にご紹介差し上げます。皆様のご研究に弊社のNGSサービスの活用をご検討ください。 

・血中DNAウイルス検出とゲノム配列との関連
血液から抽出したDNAを用いたヒト全ゲノムシーケンスデータには、血中に存在するDNAウイルス配列も含まれています。全ゲノムシーケンスデータ中に含まれるウイルス配列を検出し、ウイルスの有無で群分けしたうえでゲノムワイド相関解析を実施することが可能です。
・網羅的ウイルス解析
血清・血漿や細胞培養液等に含まれる微量のDNAウイルス・RNAウイルスを網羅的に検出することが可能です。
・遺伝子導入用ウイルスベクターの特性解析
遺伝子導入用ウイルスベクターの配列を正確に解析することに加えて、ロングリードシーケンサーを用いたウイルスベクター構造解析、ホスト細胞ゲノムの導入位置解析などが可能です。

► 6月9日(金)ランチョンセミナー2
開催日時: 6月9日(金)12:30-13:30
共催: モデルナ・ジャパン株式会社
演題名: COVID-19 mRNAワクチン開発の軌跡とこれから
座長 石井 健(東京大学医科学研究所 感染・免疫部門ワクチン科学分野)
演者名前・所属 鈴木 蘭美(モデルナ・ジャパン株式会社)
抄録: 2019年末に最初のSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染例が報告されてから、瞬く間にCOVID-19パンデミックで世界は一変した。その直後からモデルナ社はmRNAワクチン開発を迅速に推進した。本講演では、今後のモデルナ社が歩むべき方向性並びに様々な課題について考えたい。2010年の設立以来、モデルナ社はmRNAにフォーカスした研究と創薬活動に注力してきた。今回のパンデミック初期に公開された新型コロナウイルス遺伝子配列情報の取得とワクチン設計は、まさに産学連携の賜物といえる。またNIAID(米国立アレルギー・感染症研究所)とのパートナーシップは、大規模な臨床試験の迅速な実施を可能にした。mRNAワクチンの新規性からなる未知の要素は課題の一つだが、臨床試験や実臨床においての情報(Real World Evidence)により、その安全性と有効性は次第に確認され、パンデミックでは多くの感染予防、重症化、並びに死亡抑止につながった。mRNAプラットフォームは様々な疾患と感染症への応用が期待されている。またこの技術をさらに向上していくには産学連携が必須であり、多くの協業を通して、人々の命を守る新薬を創出し続けていきたい。

鈴木 蘭美  モデルナ・ジャパン株式会社 代表取締役社長
略歴:
1999年に英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにて医学博士号を取得後、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンにおいて博士研究員となる。ロンドンでベンチャーキャピタル事業に従事。その後エーザイ株式会社事業開発責任者、ヤンセンファーマ株式会社ビジネスデベロップメント本部長、並びにメディカルアフェアーズ部門本部長を務めた。フェリング・ファーマ株式会社のCEO代表取締役を務めた後、2021年11月より現職。