○櫻井 圭太 (国立長寿医療研究センター放射線診療部)
セッション情報
ミニシンポジウム
[MSY3] ミニシンポジウム3「日常臨床で普及しているMRIと脳血流SPECTはアルツハイマー病の臨床診断にどこまで迫れるか?」
2024年11月23日(土) 11:00 〜 11:50 第4会場 (1F コンベンションホール(B))
座長:和田 健二(川崎医科大学認知症学)
現在,アルツハイマー病協会国際会議においてアルツハイマー病(AD)の診断基準の改訂作業が進行している.今後,「臨床的な症候群」ではなく「AD連続体としての生物学的な定義」が重視されることによりバイオマーカーを用いる診断を重視する流れが加速すると予測される.種々のバイオマーカーにおいて脳内のアミロイドβ(A),タウ(T)が中心的な役割を果たすものの,保険診療ではAの検出が可能なアミロイドPET検査が限定的な状況で開始されたばかりである.それ故,日常の診療では最も普及している画像検査であるMRI及び脳血流SPECTでAD及びその鑑別疾患の臨床診断を行わざるを得ないのが実情である.神経変性(N)を反映する脳の形態変化及び血流はADの臨床診断に有用なバイオマーカーだが,ADに特異的な変化ではない.動的神経病理を中心とした研究の進捗により,嗜銀顆粒病,神経原線維変化型老年期認知症,TDP-43 proteinopathyをはじめとした種々の病態が類似したNを呈しうることが判明しており,臨床診断を行う上ではこれらAD mimicsとADとの鑑別が最大の課題であることは論を俟たない.ADの臨床診断におけるNの有用性と限界を実際の症例を提示しながら討議することにより,明日からの診療に役立つ情報を提供することを本ミニシンポジウムの最大の目的としている.
○木村 成志 (大分大学医学部脳神経内科)