The 43rd Annual Meeting of Japan Society for Dementia Research

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シンポジウム

[SY5] シンポジウム5「休眠・冬眠研究の老化・認知症研究の最前線と老化・認知症病態への応用」

Thu. Nov 21, 2024 9:00 AM - 10:40 AM 第6会場 (4F プレゼンテーションルーム)

座長:長谷川 隆文(NHO仙台西多賀病院脳神経内科),武田 朱公(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学)

一部の哺乳類は冬季や食料不足に直面すると,全身の酸素消費量が低下し代謝が抑制させることで生命機能を必要最小限に絞り、エネルギー必要量を減らす戦略をとる能力を有している。これを「休眠」と呼び,数ヶ月に渡る季節性冬眠と,数時間程度の日内休眠の2つに大別される。休眠の特徴は,低代謝耐性・低温耐性・体温恒常性の抑制に加え、休眠から醒めた後に生体が障害を受けずに正常に復することにある。この様な低代謝耐性と低体温耐性を人類に実装すること(人工冬眠)が叶えば、呼吸・循環不全などエネルギー破綻が問題となる疾患や老化・認知症など進行性の病態への新しい治療法開発に結びつくことが出来る可能性がある。また、患者を一時的に冬眠させ遠隔地に搬送した上で治療を行うことで、重症患者の救命率を向上させることが期待される。さらに、冬眠技術により寿命を大きく延長するが出来れば遙か彼方の宇宙への旅行も可能となり、既存の時空概念が大きく塗り替えられる可能性もある。近年、通常冬眠しないマウスを冬眠状態に誘導する神経回路が同定されたり、人工冬眠・生命保護状態を誘導する匂い分子や冬眠から覚める際の虚血再灌流障害から生体を保護する分子が同定されるなど、冬眠研究は大きく進歩している。本シンポジウムでは、休眠・冬眠研究の分野でご活躍されているトップランナーの先生方に最新の知見を紹介いただき、休眠・冬眠の分子メカニズムその制御の現在地を確認すると供に、老化や認知症研究を含めた今後の応用面について多角的な視点から議論する場としたい。