The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

Presentation information

ポスター発表 » ポスター発表 PA

ポスター発表 PA

(5階ラウンジ)

Fri. Nov 7, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PA042] 重度・重複障害児の音刺激に対する快・不快の感情と表情との関わりに関する研究II

脈波から捉えた自律神経活動の変化

宇田川順子1, 小林小夜子1 (兵庫教育大学大学院)

Keywords:重度・重複障害児, 音刺激, 脈波

問題と目的
重度・重複障害児の教育活動において,言語によるコミュニケーションが困難な生徒の意思をくみ取ることは難しい場合が多く,教員が適切な働きかけを行う上での障壁となっている。障害児・者を対象とした音楽や他者との関わりについての研究(北島・小池・堅田・松野,1993)はあるが,生活の中で聞く音刺激についてはほとんど検討されていない。そこで本研究では,学校や家庭でよく耳にする音を重度・重複障害児がどのように受け止めているのか,脈波を測定し,心拍および自律神経活動の指標であるHF(副交感神経活動)とLF/HF(交感神経活動)の分析から,音の種類による生理的指標の変化を捉えることを目的とする。
方法
調査協力者 特別支援学校(高等部)に通う,日常のコミュニケーション手段が発話にはよらない重度・重複障害児17名(男子11名,女子6名,16歳0ヶ月~18歳4ヶ月,平均17歳1ヶ月,円城寺式乳幼児分析的発達検査:0.6ヶ月~13.8ヶ月,平均5.0ヶ月)
調査期間 平成25年12月および平成26年2月
調査場所 A特別支援学校高等部施設内の22℃に設定された静かな部屋
測定機器 バイタルメーター(TAOS研究所,VM Ver.2.0.1)(無線式耳朶脈波計測システム)
手続き 所定の位置に着席してもらい,顔が正面から捉えられる位置にビデオカメラを設置した。耳朶に脈波を測定するセンサーを装着し,安静2分(pre安静)→刺激音1分聴取→安静2分(post安静)を測定した。刺激音はあらかじめ録音されたものを使用し,異なる3種類の音刺激(鈴(YAMAHA YBR-321)の連続音,ドライヤーのモーター音,新聞を破く音)を調査協力者ごとにランダムに実施した。調査協力者への負担に配慮して調査時間は20分以内とし,途中で気分や体調が悪くなった場合は調査を中止することを伝えた。
結果
聴取中・聴取終了後1分・2分の値からベースライン(聴取前1分)の値を減じた値を各生理的指標の得点とし,対応のあるt検定を行った。心拍について,鈴音でベースラインから聴取中および聴取終了後にかけて有意な増加が見られ(t(16)=-1.80,p <.10;t(16)=-2.26,p <.05;t(16)=-2.14,p <.05),終了後1分と2分で鈴音とドライヤー音の得点間に有意な差が見られた(t(16)=2.02,
p <.10;p(16)=2.19,p <.05)(Figure 1)。またLF/HFでは聴取中から終了後1分および2分にかけて有意な減少傾向が見られ(t(16)=1.90,p <.10;t(16)=1.9,p <.10),聴取中の鈴音とドライヤー音の得点間に有意な差が見られた(t(16)=2.23,p <.05)(Figure 2)。
考察
鈴音に対する反応が他の音よりも有意であったことは,鈴音が生徒にとって学習活動場面で馴染みのある音として捉えられたことに起因すると考えられる。今後,生理的指標の微小な変化を捉えることができる分析法を探っていくとともに,映像の分析と対応させることで生理的指標の変化と快・不快の感情との関わりについて考察を深めていく。
引用文献
北島 善夫・小池 敏英・堅田 明義・松野 豊(1993).重症心身障害者における期待反応の特徴 特殊教育学研究,30(4),43-53.