[PA056] 大学生活で身につけた力とその要因について(2)
学年と重視活動による差異
Keywords:大学生活, 大学生, 学習成果
【問題と目的】
近年,大学教育の質保証や学習成果が注目される中,大学において学生が身につけた力や学生の成長に関する研究が見受けられるようになってきた(杉山・二宮,2009;山田他,2012等)。大学教育や授業のみならず,大学生活での活動や過ごし方も,学生の成長や身につけた力に影響することが指摘されているが(溝上,2009;山田他,2012),学年による違いや特徴については十分に検討されているとは言い難い。
そこで本研究では,大学生活で身につけた力について,大学生活における重視活動との関連に加え,学年ごとの特徴を検討することを目的とする。
【方 法】
1.調査対象者:心理関係学部に在籍する1~4年生の女子大学生160名(1年生38名,2年生42名,3年生64名,4年生16名)を対象とした。
2.調査時期:2014年1月
3.調査内容:(1)大学生活で身につけた力:「これまでの大学生活を振り返り,修得した,身についたと思う力(知識・技能・態度等)を5つ挙げて下さい。(学内だけではなく,大学外で身につけた力でも構いません)」と教示し,自由記述で回答を求めた。
(2)大学生活において重視している活動:学業(講義や学内での学習),資格取得,専門以外の自主的な勉強と教養,クラブ・サークル活動,ボランティア活動,アルバイト,趣味,友人関係,恋愛関係について,それぞれどの程度力をいれているか,「非常に力を入れている」から「全く力を入れていない」の4件法で尋ねた。
【結果と考察】
1.大学生活での重視活動の因子分析
大学生活において重視している活動について,因子分析(主因子法・エカマックス回転)を行った結果,4因子が抽出され,第1因子「学業・資格」,第2因子「クラブ・ボランティア」,第3因子「趣味・友人」,第4因子「恋愛・バイト」と命名した。
2.大学生活での重視活動によるクラスタ分析
大学生活における重視活動について,4つの因子得点を元にクラスタ分析(Ward法)を行ったところ,3クラスタが抽出された。各クラスタの特徴を検討するため,クラスタを独立変数,重視活動の各因子得点を従属変数とする一元配置分散分析を行った結果,すべてにおいて有意差がみられた。クラスタ1は,4因子すべてにおいて得点が低かったことから「全般非重視型」と命名した。クラスタ2は,4因子すべてにおいて高得点であったことから「全般重視型」と命名した。クラスタ3は,クラブ・ボランティア活動において高得点であったことから「課外活動重視型」と命名した。
3.各学年における大学生活での重視活動と身につけた力との関連
学年ごとに,大学生活での重視活動タイプと大学生活で身につけた力について,多重コレスポンデンス分析を行った。大学生活で身につけた力については,発表(1)での分類を用い,各学年において5%以上の表出がみられたカテゴリーを分析対象とした。また,4年生は対象者が少なかったため,ここでは1~3年生を分析対象とした。
その結果,「課外活動重視型」について,1年生(図1)では,「主体性・積極性・行動力」や「自己管理能力」,「コミュニケーション」の近くに位置していたが,2,3年生では,「リーダーシップ」や「社会(働く力)」の近くに位置していた。このことから,どのような活動に力を入れている学生が,どういう力を身につけるのかは,学年によって異なる可能性が示唆された。また,身につけた力の布置に関しても,1年生(図1)では,「コミュニケーション」は「生活習慣」の近くに位置していたが,2,3年生では「専門的知識・スキル」の近くに位置するなど,学年の違いが見受けられた。
近年,大学教育の質保証や学習成果が注目される中,大学において学生が身につけた力や学生の成長に関する研究が見受けられるようになってきた(杉山・二宮,2009;山田他,2012等)。大学教育や授業のみならず,大学生活での活動や過ごし方も,学生の成長や身につけた力に影響することが指摘されているが(溝上,2009;山田他,2012),学年による違いや特徴については十分に検討されているとは言い難い。
そこで本研究では,大学生活で身につけた力について,大学生活における重視活動との関連に加え,学年ごとの特徴を検討することを目的とする。
【方 法】
1.調査対象者:心理関係学部に在籍する1~4年生の女子大学生160名(1年生38名,2年生42名,3年生64名,4年生16名)を対象とした。
2.調査時期:2014年1月
3.調査内容:(1)大学生活で身につけた力:「これまでの大学生活を振り返り,修得した,身についたと思う力(知識・技能・態度等)を5つ挙げて下さい。(学内だけではなく,大学外で身につけた力でも構いません)」と教示し,自由記述で回答を求めた。
(2)大学生活において重視している活動:学業(講義や学内での学習),資格取得,専門以外の自主的な勉強と教養,クラブ・サークル活動,ボランティア活動,アルバイト,趣味,友人関係,恋愛関係について,それぞれどの程度力をいれているか,「非常に力を入れている」から「全く力を入れていない」の4件法で尋ねた。
【結果と考察】
1.大学生活での重視活動の因子分析
大学生活において重視している活動について,因子分析(主因子法・エカマックス回転)を行った結果,4因子が抽出され,第1因子「学業・資格」,第2因子「クラブ・ボランティア」,第3因子「趣味・友人」,第4因子「恋愛・バイト」と命名した。
2.大学生活での重視活動によるクラスタ分析
大学生活における重視活動について,4つの因子得点を元にクラスタ分析(Ward法)を行ったところ,3クラスタが抽出された。各クラスタの特徴を検討するため,クラスタを独立変数,重視活動の各因子得点を従属変数とする一元配置分散分析を行った結果,すべてにおいて有意差がみられた。クラスタ1は,4因子すべてにおいて得点が低かったことから「全般非重視型」と命名した。クラスタ2は,4因子すべてにおいて高得点であったことから「全般重視型」と命名した。クラスタ3は,クラブ・ボランティア活動において高得点であったことから「課外活動重視型」と命名した。
3.各学年における大学生活での重視活動と身につけた力との関連
学年ごとに,大学生活での重視活動タイプと大学生活で身につけた力について,多重コレスポンデンス分析を行った。大学生活で身につけた力については,発表(1)での分類を用い,各学年において5%以上の表出がみられたカテゴリーを分析対象とした。また,4年生は対象者が少なかったため,ここでは1~3年生を分析対象とした。
その結果,「課外活動重視型」について,1年生(図1)では,「主体性・積極性・行動力」や「自己管理能力」,「コミュニケーション」の近くに位置していたが,2,3年生では,「リーダーシップ」や「社会(働く力)」の近くに位置していた。このことから,どのような活動に力を入れている学生が,どういう力を身につけるのかは,学年によって異なる可能性が示唆された。また,身につけた力の布置に関しても,1年生(図1)では,「コミュニケーション」は「生活習慣」の近くに位置していたが,2,3年生では「専門的知識・スキル」の近くに位置するなど,学年の違いが見受けられた。