[PA060] 性別による友人関係満足に影響を及ぼす要因についての検討
信頼感および個人志向性・社会志向性を中心に
Keywords:信頼感, 個人志向性・社会志向性, 友人関係満足
目的
「信頼感」および「個人志向性・社会志向性」が,「友人関係満足」に及ぼす影響について,検討することを目的とする。また,特に性別によるこれらの影響に焦点を当てて,検討していく。
方法
【調査時期および対象者】
2013年11月~12月
T県の大学生,計494名(男性227名,女性267名)
【調査内容】
「信頼感」,「個人志向性・社会志向性」,「友人関係満足」に関する各項目について,それぞれ「あてはまる」(5点)~「あてはまらない」(1点)の5件法で回答が求められた。
・「信頼感」に関する測定尺度:姜・南(2014)で作成された信頼感尺度が用いられた。
・「個人志向性・社会志向性」に関する測定尺度:信頼性・妥当性が確認されている伊藤(1993;1995)の個人志向性・社会志向性PN尺度が用いられた。
・「友人関係満足」に関する測定尺度:姜ら(2014)で作成された友人関係満足尺度が用いられた。
【分析手続き】
「信頼感」,「個人志向性・社会志向性」を独立変数,「友人関係満足」を従属変数として,重回帰分析を行った。性別により検討するため,上述の重回帰分析を男性,女性で行った。
結果
主な結果について,述べていく。
1.男性を対象とした分析結果
友人関係満足第5因子「関係維持満足」に及ぼす影響は,回帰式全体の説明率が,R2=.04(F(7,219)=2.28*)であったが,偏回帰係数は有意ではなかった。
2.女性を対象とした分析結果
友人関係満足第5因子「関係維持満足」に及ぼす影響は,「他者信頼」(β)=.156(t(259)=2.12*),「相対的自己信頼」(β)=.165(t(259)=2.68**),「社会志向性N」(β)=.198(t(259)=2.64**)においてのみ有意であった。このときの回帰式全体の説明率は,R2=.07(F(7,259)=4.04***)であった。
考察
女性においてのみ,信頼感第3因子「相対的自己信頼」および「社会志向性N」が友人関係満足第5因子「関係維持満足」に正の影響を及ぼすことが示された。
まず「相対的自己信頼」は,相手と比較することにより自己信頼を得るという内容の因子であることを考えると,「相対的自己信頼」を得るためには,比較対象が必要である。そこで,相手がその対象である場合,その相手との関係を保とうとしやすいのではないだろうか。一方,「社会志向性N」の特徴の一つとして,困ったことがあれば,すぐに他者に頼るなどが挙げられ,これは,側に頼れる相手がいることを望みやすくさせると考えられる。そのことが,関係を保とうとすることにつながりやすくすると推察される。したがって,女性において「相対的自己信頼」および「社会志向性N」が強い場合,友人関係そのものの維持を,重要としていることが推察され,「相対的自己信頼」および「社会志向性N」が「関係維持満足」につながったのは,このことによるものと考えられる。
今後の課題
信頼感および個人志向性・社会志向性の友人関係満足へのβ係数が低かったことから,信頼感尺度および友人関係満足尺度(姜ら,2014)の項目をより詳細に検討することが必要であろう。それをふまえた上で,友人関係満足に至るプロセスを,性別による検討を含め,より明確にしていくことが望まれる。
「信頼感」および「個人志向性・社会志向性」が,「友人関係満足」に及ぼす影響について,検討することを目的とする。また,特に性別によるこれらの影響に焦点を当てて,検討していく。
方法
【調査時期および対象者】
2013年11月~12月
T県の大学生,計494名(男性227名,女性267名)
【調査内容】
「信頼感」,「個人志向性・社会志向性」,「友人関係満足」に関する各項目について,それぞれ「あてはまる」(5点)~「あてはまらない」(1点)の5件法で回答が求められた。
・「信頼感」に関する測定尺度:姜・南(2014)で作成された信頼感尺度が用いられた。
・「個人志向性・社会志向性」に関する測定尺度:信頼性・妥当性が確認されている伊藤(1993;1995)の個人志向性・社会志向性PN尺度が用いられた。
・「友人関係満足」に関する測定尺度:姜ら(2014)で作成された友人関係満足尺度が用いられた。
【分析手続き】
「信頼感」,「個人志向性・社会志向性」を独立変数,「友人関係満足」を従属変数として,重回帰分析を行った。性別により検討するため,上述の重回帰分析を男性,女性で行った。
結果
主な結果について,述べていく。
1.男性を対象とした分析結果
友人関係満足第5因子「関係維持満足」に及ぼす影響は,回帰式全体の説明率が,R2=.04(F(7,219)=2.28*)であったが,偏回帰係数は有意ではなかった。
2.女性を対象とした分析結果
友人関係満足第5因子「関係維持満足」に及ぼす影響は,「他者信頼」(β)=.156(t(259)=2.12*),「相対的自己信頼」(β)=.165(t(259)=2.68**),「社会志向性N」(β)=.198(t(259)=2.64**)においてのみ有意であった。このときの回帰式全体の説明率は,R2=.07(F(7,259)=4.04***)であった。
考察
女性においてのみ,信頼感第3因子「相対的自己信頼」および「社会志向性N」が友人関係満足第5因子「関係維持満足」に正の影響を及ぼすことが示された。
まず「相対的自己信頼」は,相手と比較することにより自己信頼を得るという内容の因子であることを考えると,「相対的自己信頼」を得るためには,比較対象が必要である。そこで,相手がその対象である場合,その相手との関係を保とうとしやすいのではないだろうか。一方,「社会志向性N」の特徴の一つとして,困ったことがあれば,すぐに他者に頼るなどが挙げられ,これは,側に頼れる相手がいることを望みやすくさせると考えられる。そのことが,関係を保とうとすることにつながりやすくすると推察される。したがって,女性において「相対的自己信頼」および「社会志向性N」が強い場合,友人関係そのものの維持を,重要としていることが推察され,「相対的自己信頼」および「社会志向性N」が「関係維持満足」につながったのは,このことによるものと考えられる。
今後の課題
信頼感および個人志向性・社会志向性の友人関係満足へのβ係数が低かったことから,信頼感尺度および友人関係満足尺度(姜ら,2014)の項目をより詳細に検討することが必要であろう。それをふまえた上で,友人関係満足に至るプロセスを,性別による検討を含め,より明確にしていくことが望まれる。