The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB

(5階ラウンジ)

Fri. Nov 7, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PB001] 音楽における心理的効果(2)

合唱活動に着目して

芳野道子 (武蔵野短期大学)

Keywords:合唱活動, 音楽療法, 心理的効果

【はじめに】教育に息づく心理臨床のまなざしは脈々と受け継がれ今日に到っている。河合(1995)は教育における授業に焦点を当て、子どもの個性や可能性の開花を助ける人間関係の重要性を指摘している。一方音楽の領域で村井(1995)は、音楽療法が音楽教育の中に取り入れることの必要性を新たに示している。さらに音楽教育は河合の主張する「臨床教育学」と同様、人間性の形成や人格の豊かさに深く関わる教育であることを村井は前向きに述べている。芳野(2013)は音楽の心理的作用について、高校生を対象とした音楽の授業参加における心理的効果を検証した。その結果、音楽療法の心理臨床的効果と重なることが示された。これらの結果を踏まえ、本研究では大学生を対象とした合唱活動に注目し、その活動から得られる心理的効果について検証する。
【方法】「人間関係づくり」と「心の花」を各自描くことを導入として取り入れ、合唱曲「花は咲く」の合唱活動を実施した。
(1)対象者 大学生1~4年生(男女37名)である。内訳は男子(25名)女子(12名)。
(2)【授業内容】
「人間関係の育成と豊かな合唱活動」
導入
歌唱練習
①他己紹介(相手を紹介する)
①合唱曲「花は咲く」
パート別練習
②誕生日順に並ぶ
③6人グループを作る。
②合唱練習・全体合唱
④「心の花」作り
③全員の花を一つにする
④シェアリング
(表1授業の流れ)
(3)分析方法 合唱を通した音楽表現活動の実践より感受した情動及び感想を質問紙に記入した。上記の内容をSD法(7段階評定)により分析し情動の変化を測定した。情動形容詞は中村(1983)の音楽の評価尺度項目を参考にした。また自由記載による「心の花」への想いに注目し意味分析した。
【結果と考察】合唱活動の事前・事後の情動評定の差について有効となる対象人数15名のt検定を行った。12項目に有意差が見られなかでも顕著な効果が「解放感」(t(14)=7.9,p<.01)、「積極性」(t(14)=7.9,p<.01)、「気持ちの良さ」(t(14)=6.0,p<.01)に見られ、音楽療法における心理臨床的要素と重なることが示された。
(図1情動評定)
特に顕著な向上率を示した「解放感」や「積極性」、さらに「気持ちの良さ」は高校生対象の授業と結果が一致し、年齢層を越えて共通する情動である可能性が示された。また各自の「心の花」への想いは「希望・未来」「力強さ・守る」「元気・笑顔」「明るさ・温かさ」「成長・純粋さ」にグループ編成され合唱活動をより豊かな表現へと導いた。
本研究は2014年度武蔵野短期大学研究紀要に提出した論文を元に作成したものである。