The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB

(5階ラウンジ)

Fri. Nov 7, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PB004] スクールカウンセラーと教師のアセスメントの共有方略が協働的援助に及ぼす影響

学校における打ち合わせ状況別の検討

新井雅1, 庄司一子2 (1.筑波大学大学院, 2.筑波大学)

Keywords:アセスメント, 協働

本研究の目的:異なる専門性を持つ職種が協働的に援助活動を展開する基盤としてアセスメントの果たす役割は大きい(松澤,2008)。実際に,高嶋ら(2007,2008)は心理専門職と教師のアセスメントの特徴を比較し協働への示唆を示している。しかし,従来の研究は職種間のアセスメントの違いを明らかにした上で研究者側が協働への指針を提示するに留まる。相互のアセスメントを共有し協働へとつなげるため,心理専門職や教師が用いる実践方略を検討することで質の高い協働への示唆が得られると考える。本研究では中学校のスクールカウンセラー(以下,SC)・教師のアセスメントの共有方略と協働の関連を検討する。特に,これらの関係は,SCと教師の打ち合わせ状況が適切に設定されているかどうかによって異なる可能性がある。よって,学校体制としてのSCと教師の打ち合わせ状況別の検討を行うこととした。
方法:1対象:関東の公立中学校500校を無作為に抽出し,質問紙を郵送・配布した。128校から返送され(回収率,25.6%), SC96名,学級担任142名,養護教諭69名,その他の教師111名,計418名(有効回答率,95.2%)を分析対象とした。2質問紙:①フェイスシート,②共有方略尺度6因子27項目5件法(予備調査で作成。第1因子から順に「積極的かつ迅速な情報・意見交換」「情報・意見共有時の配慮」「苦労への労い」「他の教師を通した意見調整」「専門的見解の伝達」「見解の不一致時の対処」),③集団内葛藤対処行動(村山・三浦,2012)14項目2因子(能動性,同意性)5件法,④チーム内葛藤尺度(西村,2005),12項目1因子5件法,⑤事例援助における協働尺度13項目1因子5件法(石隈(2001)を参考に作成),⑥教師とSCの打ち合せ状況4項目4件法(土居・加藤(2011)を参考に作成)。
結果と考察:打ち合わせ状況の程度について平均値を基準として高低群に分け,共有方略・集団内葛藤対処を独立変数,チーム内葛藤と事例援助における協働を従属変数とした重回帰分析を行った(Table 1)。打ち合わせ状況の高低群に関わらず,積極的かつ迅速な情報・意見交換はチーム内葛藤に負の影響,事例援助における協働に正の影響,他の教師を通した意見調整は打ち合わせ状況の高低に関わらずチーム内葛藤に正の影響を示し,事例援助における協働には低群で負の影響,高群では有意な影響はなかった。情報・意見共有時の配慮は低群では事例援助における協働への影響は無く,高群では負の影響が示された。苦労への労いも低群では事例援助における協働に影響はなかったが,高群では正の影響が示された。打ち合わせ状況の程度に関わらず協働に肯定・否定的な影響を及ぼす方略や,打ち合わせ状況の程度により異なる影響を及ぼす共有方略があることが示された。
キーワード:アセスメント,協働