The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB

(5階ラウンジ)

Fri. Nov 7, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PB010] 学校予防教育「感情の理解と対処の育成」の教育効果

中学1年生を対象に

横嶋敬行1, 内田香奈子1, 山崎勝之1 (鳴門教育大学)

Keywords:予防教育, 感情, 児童

目 的
感情は人間関係においてお互いの気持ちを伝え合うための情報伝達の役割を担っており、社会性と密接な関係があることが指摘されている(福田他, 2013)。また、問題行動や攻撃性、鬱病、不安神経症などの精神疾患など、健康や適応上の多くの問題と関係がある(たとえば、Greenberg et al.,2003)。内田・山崎(2013)は、様々な研究知見を引用し、近年の脳科学や心理学の領域では、感情が人間の認知や行動に対して多分に影響を与えている可能性を指摘している。子どもの健康や適応力を高めるには、上記の感情の重要性を踏まえ、問題が起こった時の対処のみならず、ユニバーサルな予防的アプローチが必要(山崎他, 2011)であるが、その際、上述に示す感情が教育に果たす役割は重要なものであろう。
予防という視点を教育科学の領域に適用し実践を重ねている教育に、山崎ら(2012)の開発した「『いのちと友情』の学校予防教育」(TOP SELF:Trial Of Prevention School Education for Life and Friendship)がある。TOPSELFは、子どもたちの心身の健康と適応を総合的に達成することを目指す4つのベース総合教育と、特定の問題に対して矯正や予防を行うことに重点を置くオプショナル教育がある。本研究ではベース総合教育のうち、「感情の理解と対処の育成」を中学1年生を対象に実施し、その教育効果を検証した。

方 法
①教育対象者
1つの中学校の1年生計158名(男子76名、女子82名)を対象に実施した。
授業および教育評価の時期 2012年1月から2月に実施された。授業は各学校全7回(45分/回)で行われた。授業前評価ならびに後評価は授業の開始前・開始後1週間以内に実施された。
②教育効果測定尺度
本プログラムの上位目標を細分化し、中位目標として設定した「感情の同定」「感情の理解」「感情への対処」の3因子をもとに開発された尺度を使用した。自己への評価は9項目5件法、他者(所属するクラス全体)への評価は3項目5件法で回答を求めた。また、後評価のみ自己や他者、グループの向上度に関する質問を併せて実施した。
③データ分析
評価時に欠席した児童を除く、計154名(男子75名、女子79名)を分析対象とし、統計パッケージIBM SPSS Statistics 20を使用してデータ分析を行った。

結果と考察
教育効果と性差の検証をするため、時期(実施前後)?性(男女)の2要因の分散分析を行った(Table1参照)。自己評価および他者評価の「感情の同定」「感情の理解」「感情への対処」については、それぞれに時期の有意な主効果が見られ、プログラムの効果が確認された。他者評価の「感情の同定」は、性差に有意な主効果が見られ、男子の方が得点が高かった。自己評価の「感情への対処」は、時期と性の交互作用が有意であったため単純主効果の検定を行った。その結果、男子と女子、共に教育後の得点が有意に向上していたが、男子の方が高い効果量を示した(男子:F (1,152) = 51.81, p < .01, ηp2=132.54)(女子:F (1,152) = 17.04, p < .01, ηp2=43.60)。
以上のように、自己評価および他者評価のすべての下位尺度において、本プログラムの有効性が示唆された。今後は教育効果を保ちながら、学校現場でより扱いやすい教育プログラムとなるよう、改善が望まれる。