[PB026] 評定カテゴリー数の異なる尺度を用いると「幻の因子」がでることがある
Keywords:評定尺度, 因子分析
●カテゴリー数不均等バイアス(unequal category bias , UCB) 心理学では、カテゴリー数の異なる尺度間で相関係数を計算することがかなりある。この場合、たとえ??= 1でも、標本相関係数r は1より小さくなるしかなく、従って必ずバイアスを受ける。このバイアスを「カテゴリー数不均等バイアス」( unequal category bias、 UCB)と呼ぶ。これは以下のようなものである。ピアソンの相関係数が1ならば、全データが散布図上の直線に乗るので、各データからX軸Y軸上に垂線を下ろし、X軸上の交点数mと、Y軸上の交点数nを数えると、両者は必ず同じにならなければならない。すなわちこの図で必ずm = nとなる。そこで
「r = 1 ならば X軸上の交点数とY軸上の交点数は等しい」 が成り立つ。この対偶を取ると
「X軸上の交点数とY軸上の交点数が等しくないならr≠1」 という命題が成立する。そこで、 例えば
状況1:「テストAは4点満点で0から4までが得点範囲、テストBは3点満点で0から3までが得点範囲」
状況2:「尺度Xは3段階評定、尺度Yは5段階評定」
といった状況で、すべての範囲あるいは反応カテゴリーが最低1回使われるならば、相関係数は1に成りえない。この現象が ???????以外の場合でも生起するのが、最近確認された。例えば?????.90、Xのカテゴリー数が3、Yのカテゴリー数が4の場合、 rの期待値は0.69に低下する。
●因子分析への影響 相関係数がUCBの影響を受けるのならば、相関係数を用いる全ての統計手法が影響を受けることになる。本稿では因子分析で「幻の因子」が現れる場合があるのを報告する。
一次元性が非常に高い10個の(潜在)連続変数があり、相互の母相関係数が0.96であるとする(表1)。これらの変数を2段階尺度と3段階尺度を用いて測定した場合の標本相関係数の期待値は若干の積分計算の後、表2のようになる。この行列を最尤推定法で因子分析すると、「幻の因子」と言える結果が出現した(表3)。これはUCBの効果により、「異なるカテゴリー数を用いた場合の相関係数が小さくなる」というバイアスを受けた結果と考えられる。因子分析利用の際の留意点となろう。
表1 10変数の母相関係数行列
表2 最初の5変数を2段階尺度、残りの5変数を3段階尺度で測定した場合の標本相関係数の期待値の行列
表3 因子分析の結果(プロマックス回転)
因子1 因子2 共通性
1 .79 .42 .82
2 .79 .42 .82
3 .79 .42 .82
4 .79 .42 .82
5 .79 .42 .82
6 .87 - .31 .83
7 .87 - .31 .83
8 .87 - .31 .83
9 .87 - .31 .83
10 .87 - .31 .83
http://estat。sci。kagoshima-u。ac。jp/SESJSS/data/edu2012/B2S2_02_shiina。pdf ←参考資料
「r = 1 ならば X軸上の交点数とY軸上の交点数は等しい」 が成り立つ。この対偶を取ると
「X軸上の交点数とY軸上の交点数が等しくないならr≠1」 という命題が成立する。そこで、 例えば
状況1:「テストAは4点満点で0から4までが得点範囲、テストBは3点満点で0から3までが得点範囲」
状況2:「尺度Xは3段階評定、尺度Yは5段階評定」
といった状況で、すべての範囲あるいは反応カテゴリーが最低1回使われるならば、相関係数は1に成りえない。この現象が ???????以外の場合でも生起するのが、最近確認された。例えば?????.90、Xのカテゴリー数が3、Yのカテゴリー数が4の場合、 rの期待値は0.69に低下する。
●因子分析への影響 相関係数がUCBの影響を受けるのならば、相関係数を用いる全ての統計手法が影響を受けることになる。本稿では因子分析で「幻の因子」が現れる場合があるのを報告する。
一次元性が非常に高い10個の(潜在)連続変数があり、相互の母相関係数が0.96であるとする(表1)。これらの変数を2段階尺度と3段階尺度を用いて測定した場合の標本相関係数の期待値は若干の積分計算の後、表2のようになる。この行列を最尤推定法で因子分析すると、「幻の因子」と言える結果が出現した(表3)。これはUCBの効果により、「異なるカテゴリー数を用いた場合の相関係数が小さくなる」というバイアスを受けた結果と考えられる。因子分析利用の際の留意点となろう。
表1 10変数の母相関係数行列
表2 最初の5変数を2段階尺度、残りの5変数を3段階尺度で測定した場合の標本相関係数の期待値の行列
表3 因子分析の結果(プロマックス回転)
因子1 因子2 共通性
1 .79 .42 .82
2 .79 .42 .82
3 .79 .42 .82
4 .79 .42 .82
5 .79 .42 .82
6 .87 - .31 .83
7 .87 - .31 .83
8 .87 - .31 .83
9 .87 - .31 .83
10 .87 - .31 .83
http://estat。sci。kagoshima-u。ac。jp/SESJSS/data/edu2012/B2S2_02_shiina。pdf ←参考資料