The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB

(5階ラウンジ)

Fri. Nov 7, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PB045] 特別支援教育に関する教職キャリア別教員の課題

高畑芳美1, 小林祐子1 (兵庫教育大学)

Keywords:特別支援教育コーディネーター, 教員のライフステージ, キャリアアップ

はじめに
今日の学校現場では,いじめ・不登校などの生徒指導上の諸問題,学力向上,特別支援教育の充実,外国人児童生徒への対応など多様な課題が生じ,学校教育を担う教員の資質能力の向上が求められている。しかし,団塊の世代という経験豊かな教職員の退職と経験の浅い教員が大量に誕生しつつある中,中央教育審議会において,教員が教職生活の各段階を通じてより高度な専門性と社会性,実践的な指導力を身につけられるよう,教員養成・採用・研修の見直しが審議されている(中央教育審議会,2012)。教員は,その人の持つ「人間性や社会性」をベースにライフコースごとの資質能力を積み重ねていくものである。
平成19年度から「特別支援教育」が本格実施されて久しい。特別支援教育に関する教員研修は,任命権者である都道府県や政令指令都市が多くを行い,設置者である市区町村教育委員会も行っているようである(国立特別支援教育総合研究所2008年3月)。研修内容は,指名された特別支援教育コーディネーターの経験年数別に組まれているものもあるが,キャリアに特化する課題が明確化されていないため,ニーズに合う研修が十分組み込まれているとは言い難い。そこで,今回は,まず特別支援教育の視点から,年代別の教員,特に初任者とミドルリーダーに注目して,その課題を整理することが重要ではないかと考えた。
研究目的と方法
1)調査の目的:教職経験の年代別に特別支援教育の課題と考える内容を明らかにする。
2)対象者:20xx年7月から9月,特別支援教育に関する研修会にした教職員106名(うち,有効回答数は,99名分)
3)方法:研修終了後,受講者にアンケート用紙を配布。現場で1番と考えられる課題等自由
記述。その内容をKJ法で分析,教員の経験年数別に整理した。教員の経験年数・特別支援教育に携わった経験年数は,図1の通り。
結果と課題
年代別には,1から10年未満の教員にとっては,当然のことながら特別支援教育というよりも,まず基本的な学級作り,授業作りが課題となる。10年~19年目の教師の課題は,自身の生活も多忙になるうえ,学校組織の中でも中堅教員,ミドルリーダーとしての役割も増えるため,思うように動けないジレンマを大きく抱えている。20年以上になると,職能成長に大きな差が出てくる。
今回の調査から,今後の特別支援教育の研修体系は,個人の教師の専門的スキルアップを目指すだけではなく,組織としての学校の成長・発達を企図した形にしなければならない。同僚性とメンタリングを視点に据えた特別支援教育の教職キャリア別の研修プログラムの構築の必要性を裏付けるものであると考える。
<引用文献>
中央教育審議会(2012):教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について(答申)
大杉成善・横尾俊(2008年3月):特別支援コーディネーターの養成研修について,国立特別支援教育総合研究所,160-177